「自分の得意を見つける」ラグビー教室|千代田区神田淡路町保育園大きなおうち

元オリンピアンや世界大会出場選手など、日本のトップアスリートが、園児にスポーツの基礎と楽しさを教えるスポーツプロジェクト。今回は、神田淡路町保育園で行なわれた、ラグビー教室の様子をお伝えします。

講師にお招きしたのは、ラグビーの元日本代表で、フランス1部リーグで日本人初のプロ契約選手になるなど日本を代表するラガーマンの一人、齊藤祐也さん。選手引退後は、ラグビーの普及に尽力。現在、子ども向けスポーツ教室の主催、ラグビー解説、そして人気ドラマ、ノーサイドゲームをはじめ各メディアへ出演されるなど、多方面で活躍中です。

ゆうちゃんと子どもたちとの2つの約束

「今日はよろしくお願いします」の挨拶から始まる、齊藤さんの自己紹介。「齊藤祐也です。ゆうちゃんって呼んでね。困ったことがあったら、ゆうちゃん来てー!って言ってね」

ラグビー選手として輝かしい経歴を持つゆうちゃんですが、なんとラグビーが下手だったそうです。しかし、ラグビーは、さまざまなポジションの選手が助け合い、協力しながらチームでプレーをするスポーツ。足が遅くても、体が小さくても、パワーがなくても、自分の得意なもので活躍できるので、すばっしっこさが取柄だったゆうちゃんは、それを活かせるポジションで、ラガーマンとしての実力をつけていきました。

「ラグビーは自分の強みを見つけて、成長するスポーツ。だから、みんなに約束してもらいたいことがあります。このラグビー教室を通して、何かひとつ、自分の得意なものを見つけること」。これが、ゆうちゃんと子どもたちとの一つ目のお約束でした。

そして、もう一つ、ゆうちゃんからお話がありました。「大人数で1つのことをやるのに大切なことは何かな?」

「チームワーク!」「チームで戦う!」「協力する!」と、大きな声で答える子どもたち。

ゆうちゃんは、自分の胸にこぶしを当てて言います。「そうだね、みんな正解。そして、大事なのはココ、〝こころ〟だよ。今日は、みんなが優しい心を持って、お互いに協力し合うこと」。これが、ゆうちゃんと子どもたちとの二つ目のお約束です。

ラグビー流「だるまさんが転んだ」

さて、いよいよゲーム開始。まずはウォーミングアップ。自由に走って、笛がなったらすぐ止まる。次は、笛がなったらしゃがむ。最後は、笛がなったら寝る。

次は、いよいよボールを持って、1回目の笛で止まる。2回目の笛でしゃがむ。3回目の笛で寝る。「でも、本当に寝ちゃダメだよ!」と、子どもたちを笑わせる、ゆうちゃん。

子どもたちのテンションが上がってきたところで、水分補給。「氷めっちゃ入れてきてよかった!」と、熱くなった体と、乾いた喉を癒します。

「次のゲームは、だるまさんが転んだをするよ」と、ゆうちゃんが言うと、みんなが飛び跳ねて大はしゃぎ。だるまさんが転んだといっても、そこはラグビー流。

走ってゴールを目指すけれど、みんなが走っていいのは、ゆうちゃんたちがボールをパスしているその瞬間だけ。パスを受け取ったら、走るのは禁止。もし走ってしまったら、スタート地点に戻るというルール。

しかも、ここで現れるのが、イジワルゆうちゃん。ボールをパスすると見せかけて実は投げないというフェイント攻撃で、子どもたちを翻弄します。さて、一番早くゴールにたどり着けるのは誰かな!?

でも、そんなゆうちゃんのフェイントを上手にかわし、ゴールに近づく子どもたち。先にゴールした子たちは、ゴールを目指して頑張っているお友達に「〇〇ちゃん頑張れー」と声援を送ります。

プロが教える、ボールの投げ方、取り方


次のゲームは、投げて取ることがテーマ。まずは、ボールを小さく投げて取る。そして、こんどは頭より高く投げて取る。

ここで、ゆうちゃんからのクイズです。「ボールはどこで取ったら取りやすいかな?」。

1.頭の上で取る  2.胸の前で取る 3.お腹より下で取る。

みんな元気いっぱい大きな声で、「2番!」と答えます。さらに、もうひとつクイズ。「どうやって取るのが取りやすい?」。

1.手を横におもいっきり広げて取る 2.手をボールの大きさに合わせて、ボールが落ちてくるのを待って取る
ゆうちゃんから、取り方のコツを教わります。


そして小さく投げるのと、頭より高く投げるのとでは、どっちが長い時間投げられるかを考えて、次の課題はボールを上に投げて受け取るまでの間に、頭を触ること。それができるようになったら頭と肩。それもクリアしたら頭、肩、お腹を触る。

パスでつなぐリレー

今度のゲームは、協力がテーマ。笛が2回なったら2人ペアになって座る。4回なったら4人ペアになって座る。
「1人でいる子がいたらどうする?」と、たずねるゆうちゃんに、「呼んであげる!」と答える子どもたち。「みんなは1人のために」のラグビー精神が芽生えていますね。


4人ペアができたところで、それぞれのチームを赤、黄、青、緑色チームに分け、4組対抗のリレーの開始。ルールはこう。ボールを持って走り出すけど、まずは1メートルほど先にそのボールを置く。そして、向こう側にある輪っかに足を入れたら、折り返して戻ってくる。最初に置いたボールを拾って、次の人にパスをして選手交代。


チームでの協力が勝敗のカギを握ります。さて、結果は……。

黄色チームが優勝でした! 優勝チームを、それ以外のチームの子たちが拍手をして称えます。


元気いっぱいにプレーし、ゆうちゃんから〝アスリート〟と認められた、子どもたち。
ちびっこアスリートは、「みんなが優しい心で協力する」という、ゆうちゃんとの二つ目のお約束をしっかり果たすことができました。

子どもの夢を育むために大人ができること


さて、もう一つのお約束、「何かひとつ、自分の得意なものを見つけること」。早く走る、遠くに投げる、熱く応援する、みんなを引っ張っていく、まわりを明るくする……。ゆうちゃんとの約束を果たすことができたかどうか、その答えは、これから子どもたちの姿のなかに見てとることができるでしょう。


日本人のラグビー選手がまだ海外で認知されていなかった時代に、海外で活躍する選手になるという夢を叶え、現在子どもたちの夢のお手伝いをしている齊藤さん。そんな齊藤さんに、「子どもの夢を育むために、大人ができること」を、たずねてみました。

「できるだけたくさんの選択肢を子どもに用意してあげることだと思います。そうすれば、子どもたちは、さまざまな選択肢の中から、自分の得意を活かせるものを見つけることができます。自分の強みを活かせるポジションを見つけることが、夢を叶えることに繋がっていくんだと思います」。


ちびっこアスリートたちがそれぞれ、自分の得意を見つけて、その得意を活かせるポジションに出合うことができますように。そして、子どもたちの夢が、大きく、大きく育っていきますように!

 

右:齊藤祐也さん 左:スポーツプロジェクトを一緒に実施している株式会社Criacaoの土田さん

ONE ROOF ALLIANCE ワンルーフアライアンス

ONE ROOF ALLIANCE ワンルーフアライアンス
現在、都内22の認可保育園と認定こども園を運営する「社会福祉法人東京児童協会」と、企業主導型保育園や学童保育の運営、海外への保育事業を展開する「株式会社ONE ROOF」が主体となり、新しい子育て社会を実現していくネットワークです。