都内に24の保育園を運営している社会福祉法人 東京児童協会は、保育カリキュラムに食育を取り入れています。幼少期の大事な時期に貴重な体験ができるように、「食・触・植」と3つに分け、季節に合った給食献立や、種まきから収穫・調理、魚の解体など、年間を通してさまざまな食育イベントを開催しています。
今回は、プレミアムウォーター株式会社と社会福祉法人 東京児童協会が合同で開催した、 新宿富久ソラのこども園での「和食創作イベントこども料亭」のレポートをお届けします。
目次
親子で和食の大切さを学ぶ機会に
この日開催されたのは、星付き料理人『西麻布大竹』の大竹シェフをゲストにお招きした「こども料亭」。事前に参加を募り、応募した16組の親子が参加しました。
日本人には欠かせない和食ですが、昨今の家庭料理で重要視される「簡単さ」「時短」「手軽さ」を考えると食卓に並ぶ機会は年々減っているというデータが出ています。どうしても手間ひまがかかる印象がある和食ですが、ゲストである大竹シェフに「時短で簡単にできる本格和食料理」を紹介してもらうことで、親子で気軽に和食を作り、食べる機会になるかもしれません。
子どもたちと大竹シェフがご対面
イベント前、子どもたちは先生から今日のおもてなし会の説明を受けます。そして、星付き料理である大竹シェフが、子どもたちの前に登場!
その間、保護者のみなさんは作業スペースで子どもたちの準備ができるのを待っています。普段、なかなか保育園の中で親子で過ごす機会がない保護者のみなさんは、今日のイベントをとても楽しみに参加された様子。
子どもたちは、どんな様子で登場するのでしょうか。
大竹シェフがこの日のために考えた献立はこちら。園児と保護者で食べる料理と考えると、「酢味噌かけ」や「つみれ汁」など、子どもが苦手そうな献立も入っています。
子どもたちは、この献立を食べられるのでしょうか。
「今日は、こども料亭というお店でお父さん、お母さんに、おいしいごはんを作ってあげましょう! 僕はみなさんのお手伝いをします」という大竹シェフからの言葉に、子どもたちはやる気マンマン!
ワクワクがたくさんのイベントがスタートです!
お父さん、お母さんをおもてなしするためにシェフに変身
まずは、おもてなし料理をつくるシェフになるべく割烹着を着て料理人に変身!
子どもたちはみんな、自分で上手にお着がえをしていました。大竹シェフと同じように、かっこいい料理人になった気分です。
さぁ、準備は完璧! 首を長くし待っているお父さん、お母さんのもとへ向かいます。
本日のおもてなし料理の招待状
子どもたちに配られたのは、こども料亭への招待状。作業スペースで待つ、お父さんん、お母さんに今日のおもてなしの説明を伝えながら、招待状を渡してもらいます。
「いつも、おいしいごはんを作ってくれてありがとう」という気持ちを込めて招待状を渡すんだ~! と話す子どもたちの笑顔が輝いていました。
「ようこそ、こども食堂へ。今日は、私たちがお父さん、お母さんをおもてなしします」
そう伝えながら渡される招待状を受け取り、保護者のみなさんはとてもうれしそう! 我が子の割烹着姿を見た瞬間も「かわいい~!」と歓声が上がっていました。
子どもたちも、保育園の中で一緒に過ごすこの時間がとても楽しそう。
大竹シェフと一緒にお米を研いで、アジのつみれ作り
今回のおもてなし料理の献立の中から、大竹シェフに教えてもらい参加した親子が挑戦するのは、お米研ぎといわしのつみれ作りです。
大竹シェフの説明を真剣に聞く参加者のみなさん。毎日のようにお家で焚いているお米ですが、洗い方、浸水時間でおいしさは大きく変化するそうです。
おいしいお米を炊くには、当然おいしいお水も必要。大竹シェフのお店では、プレミアムウォーターを使ってお米を焚いているそうです。
また、浸水時間も重要。夏場は30分、冬は1時間の浸水でお米がふっくらおいしく炊けるというお話をお母さんたちがメモしていました。
実際にお米を研いでみます! お母さん、お父さんから教えてもらいながらみんな上手にお米を研げていました。
お父さんと一緒にお米を研ぐ園児。お水がこぼれないように2人とも真剣ですね!
大竹シェフによるいわしの捌きを見た後は、各テーブルで「つみれ作り」。きっと、多くの子どもたちにとって初体験となった「つみれ作り」。
この後の試食時にどんな反応をするのか楽しみですね。
普段、おうちではなかなか一緒にお米を研いだり、ご飯を作る時間というのはないかもしれません。お休みの日に参加するイベントで、親子の濃い時間を過ごせたのではないでしょうか。
ランチョンマットや箸置きも手作り
つみれ作りの後は、おもてなし料理を乗せるためのランチョンマットと箸置き作り。
「お母さんは、何色が好き?」と聞きながら作られていくランチョンマットの完成度の高さに驚きます。
保護者のみなさんは始終うれしそうで楽しそう。
一生懸命作ったごはん、一緒に食べようね!
おもてなし料理が完成。出来上がったばかりのランチョンマットの上に、一汁三菜のレシピが並びます。
子どもたちは、自分たちが研いだお米がたけのこご飯になり、つみれがお椀の中にあるのを見て大喜び。
「お母さん、おいしく食べてね」と伝えています。
とってもおいしそう! 大人が見ると、どれもおいしそうと思う献立ですが、子どもたちの反応は?
ほどんどの子どもたちが完食! 社会福祉法人 東京児童協会が運営する保育園、こども園では、給食にも和食が登場することが多いです。普段から、園の中のキッチンで作られるできたてのおいしい和食を食べて育っている子どもたちにとって、今日の献立はごちそうだったようです。
参加した保護者の方たちからは、「普段、4時間も子どもと一緒に何かをするということがないので、とても良い時間を過ごせました」という声や、「お手紙を見て何気なく申し込みをしたけど、参加してよかったです。こんなに本格的でおいしいお料理を食べられて幸せです」と言った声が聞かれました。
また、「園でこういうイベントに参加するのが初めてだった。大竹シェフの笑顔や声掛けも、お子さんがいるということでとてもやさしかったです」。「つみれを家で作るとかはなかなかできないことなので、子どもたちにとってすごく良い経験になったと思います」。「自分で作ったという意識があったのか、家では食べないつみれを食べていたので、これが食育なんだなぁと感じました」と言った感想を語ってくれる保護者の方が多かったです。
園の栄養士さんたちにとっても良い経験
園の栄養士さんたちも、イベントのために厨房の中で奮闘されていました。リーダーの友松芳恵さん(右から2人目)にお話しを聞きました。
「普段から和食は多いですが、園で作るものは味付けが子ども向けなので、大人っぽい味付けのものを食べる子どもたちの反応が新鮮でした。
「酢味噌和え」は、なかなか子どもたちが食べないレシピ。今日は、砂糖は多めに入れて甘く仕上げたのですが、ほとんど完食していて驚きました。自分で作ったり、本物という満足度で食の進みは違うんだなと思いました。
厨房の仕事は、外部の方から学ぶ機会があまりないので、星付きのシェフが作り上げていくお料理を間近で見られたのはすごく勉強になりました。
大竹シェフは、所作のひとつひとつがとても美しかったです。私たちはトングで盛り付けをしますが、大竹シェフは箸で盛りつけをしていて、その繊細さな盛り付けを間近で見られたのも良い経験になりました」
西麻布大竹の大竹シェフの感想
僕も4歳になる子どもがいるので、思ったほど緊張することなく楽しませていただきました。子どもたちが作ったり、食べたりしている姿を見て幸せな気持ちになりました。
今日の献立は、子どもっぽすぎるものにするよりは、子どもでも食べやすい本格和食を意識して考えました。酢味噌和えは、反応が心配でしたが、子ども向けの味付けにしたこともありモリモリ食べてくれていたのでうれしかったです。
保護者のみなさんから、子どもの好き嫌いについての質問がありました。僕も、子どもができてから野菜はなるべく食べられるようにしないといけないなと考えるようになりましたが、うちの子は野菜が苦手。僕も子どもの頃は野菜はあまり好きではなかったので、あまりうるさくは言えません。
うちの子は、タイやヒラメで出汁をとったおじやを離乳食で食べさせていたのですが、今はお米が嫌いで食べてくれません(笑)。
子どもの食の好みっておもしろいですよね。今嫌いでもきっと好きになるタイミングが来るだろうという気持ちで見守っています。
今日参加してくれた子どもたちは、4歳くらいで和食の料理を作ることができるのは良い経験だと思います。今日のイベントをきっかけに、将来和食の料理人を目指す子がいたりしたらうれしいですね。