オリンピック選手から教わる「走り方教室」を開催!

都内に22園の保育園を運営する東京児童協会の各園では、園児たちがさまざまなスポーツ教室を経験する「スポーツプロジェクト」が実施されています。オリンピックで活躍した選手や第一線で活躍したアスリートを指南役に招き、「本物」を体験する貴重な機会です。

今回は、オリンピック選手として夢の舞台を経験し、指導者としても活躍する伊藤 友広さんを指南役に開催された「走り方教室」をレポートします。

アテネオリンピック出場経験者・伊藤友広さん

東京児童協会が運営する3園が地域のコミュニティーセンターで「走り方教室」に参加。今回指導を行った伊藤さんは、2004年のアテネオリンピックの陸上競技に出場したオリンピアン。

秋田県の田舎で育った伊藤さんは、幼少期から中学まではじつは野球に親しんでいたそうです。本格的に陸上を始めたのは、高校生からだといいます。高校時代は400m競技を専門に行い、高校最後の3年生では、努力の甲斐あって国体で優勝するなど、メキメキと頭角を現します。

法政大学に進学してからは、在学中にアテネオリンピックに出場、4位の好成績をおさめました。その後、実業団など、陸上選手として30歳までプロとして活躍。

それから10年以上指導者として、子どもから大人までさまざまな人に走り方を指導されています。

伊藤 友広さんの「走り方教室」

スポーツプロジェクトが発足した2018年から指導者として同プロジェクトに携わり、たくさんの子どもたちに走り方を教えてきた伊藤さん。今回は、早く走るためのコツやポイントを教わります。

最初は、小さなカラーコーンを使ったゲーム感覚でできるプログラムを行います。


スタート地点でペアになり、「よーい、ドン!」でスタートすると、ジャンケンをして勝者だけが次のポイントに走ることができ、負けた人は勝つまで何度もその場でジャンケンをするというユニークなルール。馴染みのあるジャンケンを取り入れた簡単で楽しいプログラムに、子どもたちは初っ端から大盛りあがり。


伊藤先生から「早く走る方法知ってる人〜?」と、子どもたちに質問が投げかけられると、「ハイ!」と元気よく挙手をする子どもたち。みんなジャスチャー付きで自分の考えを発表します。

早く走るための大切なポイントは、ズバリ「まっすぐな姿勢」だそう。走るときは、地面を力強く蹴る必要がありますが、悪い姿勢だと力が入りづらく前に進みません。

実際に子どもたちの前で悪いお手本を見せてくれます。

「悪い姿勢がなぜだめなのか」を理解したうえで、良い姿勢のポイントを教わります。
「焼き鳥の”肉”になって、頭のてっぺんからまっすぐな串がささっているように頭の中でイメージをしてみて!」と、伊藤さん。こうしてまっすぐな姿勢の「感覚」を養うことが大切なポイント。さらに、正しい姿勢のままジャンプの練習へと続きます。

「串が折れそうになっている人がいますよ〜」と、ユーモア溢れる声掛けに、笑いがおこりながらも、子どもたちは正しい姿勢をイメージしながら元気にジャンプ!

ジャンプを何度もやっていくうちに、自分の体が地面から跳ね返るイメージをつかむことができ、まるでトランポリンの上ではずんでいるような感覚になるそうです。こうした「感覚」を磨くのも大切なポイント。

続いて、ケンケンやスキップを交えたプログラムを行いました。ケンケンでは前に体重をのせること、スキップでは膝を上ではなく前に出すことなど、簡単な動作の中には、じつはそれぞれ早く走るためのポイントがあります。

こうしたポイントをおさえたうえで練習を重ねることこそが、早く走るためのコツ。これなら近所の公園などでいつでもできるので、教室を終えたあとでも練習を続けることができそうそうですね!

最後は、子どもたちが大好きなリレー対決。直前に教わったスタート時の姿勢もしっかりきまっています。

走者が走ると、チームメイトから「がんばれー!」と大きな声援が飛び交います。こうして2回戦にわたって白熱したリレーを終え、約1時間の走り方教室はあっという間に幕を閉じました。

子どもたちが楽しくチャレンジできるプログラムの中には、早く走るためのポイントがたくさんあった走り方教室。

早く走るためには、「1歩でどれくらい進めるか」と、「体がどれくらい早く動かせるか」の掛け合わせが大きなポイントだそう。そこでジャンプやケンケン、スキップなどの練習が大きな意味を持ちます。こうした練習を続けることで、早く走るポイントでもある「地面をすばやく蹴って前に出る」ことにもつながります。

「幼児期は運動神経の発達が盛んですが、都内の場合はとくに体を動かしていないケースや、近年のコロナ禍で運動量が減っていること、さらに小学生の体力が低下している現実があります。だからこそ、運動の機会を設けるすることは、幼少期の子どもにとって大切だと感じています」

「幼少期に何度もチャレンジすることで、できなかったことがいつしかできるようになります。陸上は、定性的なこと、定量的なことの両面から、変化を自覚できるスポーツです。こうした「できた!」を経験することは、人の気持を前向きにさせたり、物事に対して積極的になれたりといったメリットもありますよね」と、運動能力の向上はもちろん、さまざまなことに対して自信につながる相乗効果もあると話してくれた伊藤さん。

楽しくチャレンジできる中にも、しっかり早く走るためのポイントを盛り込んだプログラムは、子どもたちからも大好評。加えて運動は、体と心の成長や豊かな心を育むことにも大きく貢献しているといえます。

一流選手から直接指導してもらえるスポーツプロジェクトは、成長過程である幼少期の子どもたちにとって、「本物」にふれたり、たくさんの学びを得られる貴重な機会になっています。こうした経験は、未来のアスリート誕生のきっかけになるかもしれませんね。

ONE ROOF ALLIANCE ワンルーフアライアンス

ONE ROOF ALLIANCE ワンルーフアライアンス
現在、都内22の認可保育園と認定こども園を運営する「社会福祉法人東京児童協会」と、企業主導型保育園や学童保育の運営、海外への保育事業を展開する「株式会社ONE ROOF」が主体となり、新しい子育て社会を実現していくネットワークです。