甘くて、やわらかくて、子どもが大好きな果物、バナナ! スーパーでよく見かけるバナナですが、「なぜ黄色いの?」「なぜ曲がってるの?」「どんなふうに木になっているの?」と、バナナには不思議がいっぱい。
そんなバナナの謎を知って、食べ比べて、バナナから作ってみる「バナナ講座」が、東京児童協会の運営する保育園のひとつ、『すみだ川のほとりに笑顔咲く保育園』で開かれました。
保育園職員に、バナナで元気を届けたい!
このイベントを実施してくれたのは、日本橋にあるバナナジュース専門店『BANANA JUICE TOKYO』のオーナー、大橋貴尚さん。
3歳の男の子のパパであるも大橋さんは、お子さんが通う保育園が新型コロナウィルス感染症拡大で休園になった際に、職場に子どもを連れていくも仕事にならず、安心して子どもを預けられる保育園のありがたさを痛感。共働き世帯にとって、保育園がいかに重要なインフラであるかを再認識されたそうです。
そこで、長引くコロナ禍のなか、保育園職員に日頃の感謝の気持ちを伝えたい、少しでも元気になってもらいたいと、バナナを寄贈する活動を始めました。
ジュースショップのお客さんが当園の関係者だったご縁で、寄贈を受けることになったのですが、そこは〝食育〟に力を入れている当法人。バナナを寄贈してもらうだけではなく、せっかくの機会を園児たちの学びの場にしたい! と、大橋さんと山下園長が意見を出し合って、食育にSDGs教育も加えた、「バナナ講座」を開くことになりました。
バナッシーが教える「バナナ講座」
バナナ柄のシャツに、バナナの被り物の〝バナッシー〟に変身した大橋さん。この日を楽しみにしていた5歳児クラスの園児たちを出迎えます。
山下園長からイベントの説明があり、バナッシー大橋さんの自己紹介が終わると、いよいよバナナ講座のはじまり。
バナッシーと一緒に、バナナ講座のガイドをしてくれる、バナオくんとバナミちゃんがスクリーンに登場すると、たちまちバナナの世界に惹き込まれる子どもたち。
まずは、バナナの色について学びます。普段、自分たちが知っている黄色いバナナが、じつは緑色から変化したものだと知って、みんなビックリ!?
バナッシーが用意してくれた、3種類のバナナ、緑のバナナ、黄色のバナナ、黒い点々が出てきたバナナを触ったり嗅いだりして、かたさの違い、匂いの違いを体感。緑色のバナナは、皮を剥こうと思っても、硬くて剥けません。
味の違いを食べ比べるために、バナッシーが、黄色のバナナと、黒い点々が出てきたバナナを切り分けてくれました。さて、より甘いのは、どっちのバナナかな?
農家からおうちまで、バナナをどうやって届けるのかな? というクイズでは、「車」「飛行機」のほか、「宅急便‼」というユニークな回答も。
バナナで考えるSDGs
東京ドーム35個分のバナナが捨てられている現状を教わり、捨てられるバナナを減らすためにできることを考える子どもたち。
「茶色くなっても美味しいよって教えてあげる」という意見など、しっかりした考えに、先生たちもビックリ‼ 子どもたちの成長を実感できる嬉しい答えが続々。
捨てられるバナナを減らす方法のひとつがジュースにすること。
実際に、バナッシーがその場でバナナジュースをつくって、園児たちに飲ませてくれると、「美味しい」「甘い」「めっちゃ甘い」と、すっかりジュースが気に入った様子。茶色くなったバナナが、とっても甘くて美味しいジュースになることが分かりました。
捨てられるバナナを減らす方法のふたつめ、バナナの皮からできる肥料づくりを体験。
ハサミでバナナの皮を小さくカットしたら、水を入れたペットボトルのなかに投入。2~3日放置すると、皮が発酵して、つけておいた水が肥料に変身するんだそうです。使うときは、3倍に薄めて使用。立派な肥料になあれ‼と、数日待機。
さらに、なんと!なんと! ペットボトルのなかのバナナの皮も、取り出して干すと、それも肥料になるんだそうです。本来なら、実も皮も、食べたり、有効活用できるバナナが大量に捨てられているなんて、本当にもったいないですね。
「今日やったことをパパやママにも伝えて、おうちでもやってみてね」と話すバナッシー。おうちでも、「目指せ、有効利用、そしてバナナロス・ゼロ!」。SDGsの活動をやっていこうね。
エクアドル産バナナをプレセント
バナナ講座が終わると、嬉しい出来事が! 大橋さんがお店で実際に使っている、甘さたっぷり、しっとりした味わいが特徴のエクアドル産バナナを、子どもたち一人ひとりに手渡しし、プレゼントしてくれました。
素敵な贈り物に大喜びする子どもたち。「ありがとうございました!」と、元気な声で大橋さんに感謝の気持ちを伝えます。
みんなとびきりの笑顔で記念撮影し、イベント終了。
バナナジュース専門店の経営のかたわら、栄養価満点のバナナを通じて、日々の食の大切さ、体に必要な栄養摂取の重要性を伝えていきたいという大橋さん。
「このバナナ講座によって、皮の有効活用や廃棄ロス削減といったSDGsの大切さを子どもたちに知ってもらえたら嬉しいです。と同時に、幼児期からの食育で、社会問題としてたびたび取り上げられている、子どもたちの将来の低栄養の予防にもつなげていけたらいいですね」と語ってくれました。
バナナ講座、その後の、おはなし
「立派な肥料になあれ‼」との願いを込めて、子どもたちがバナナの皮でつくった肥料。さてさて、土日をはさんだ週明けの保育室でどうなってたかっていうと……!? みんなの想いが届いて、しっかり立派な肥料になっていました!
「次はどうするんだっけ?」「バナッシー、何て言ってた?」という先生の質問にも、ハキハキ答える子どもたち。講座から数日たっても、バナッシーから教わったことが、みんなの心にしっかりと残っていました。
食育の一環で育てているプランターの野菜に水肥料をあげ、さらにペットボトルから取り出した皮を乾燥させてつくった肥料も、後日、土に混ぜました。
捨てられるはずのバナナの皮が、形を変えて、野菜を育てる栄養分になる。バナナ講座の肥料づくりの体験から、循環する大自然のサイクルについても、学ぶことができました。