22の保育園を運営する東京児童協会は、普段からSDGsにつながる食育活動に力を入れています。それと同時に、日頃から地元の企業やお店などと連携を図り、地域に根ざした保育園を行っているのも特徴です。
今回開催された「バナナで食育文化交流会」も、まさのそれら活動の一環です。バナナについて学んだり、バナナ大国のエクアドルの魅力を知ったりなど、地域のお店はもちろん、外国のことを知る良いきっかけにもなった同イベント。バナナを通じて、今まで知らなかったバナナのトリビアやエクアドルの魅力に、子どもたちはすっかり引き込まれていました。
日常からSDGsをテーマに食育活動を実施!
国内を始め、世界各国でも食品ロスが問題になっている昨今。ですが、子どもたちがこうした食に関する問題をあらためて考える機会はそう多くはありません。
東京児童協会の各保育園では、プランター栽培を積極的に行うなど、子どもたちが自然に食に関心をもつ活動を行っています。
例えば、同協会の「江東区白河かもめ保育園」では、自分たちで苗を選んで買いに行くところからスタートし、土をならして植え、日々雑草を抜いたり、水やりをしたり。子どもたち自身が苗から育てた食材の生長を見守る活動を行っています。いざ、苗から植えた食材を収穫するときは、子どもながら感動の瞬間です。
収穫した食材は、最終的に各園の栄養士さんによって、ていねいに調理され、給食のメニューとして子どもたちが口にします。大事に育てた食材をじっくり味わいながら、日々の食事に感謝する心も育まれる、そんな活動も実施しています。
バナナで食育文化交流会開催!
今回、同協会「江東区白河かもめ保育園」で実施されたバナナイベントでは、中央区日本橋でバナナジューススタンド「BANANA JUICE TOKYO」を営む大橋さんからバナナに関するさまざまなトリビアを教えてもらう貴重な時間を過ごしました。バナナの被り物「バナッシー」に扮した大橋さんに、子どもたちは興味津々です。
バナナの生長過程がわかる3種類のバナナが用意され、それぞれさわったり、匂いをかいだり、食べたりしてその違いを体感します。
バナッシーから訳ありバナナが大量に捨てられている現実を聞いた子どもたちは、ここでも食品ロスに関する問題を知ることに。ですが、熟しすぎたバナナをジュースにしたらおいしいこと、バナナの皮が肥料として有効活用できることなど、自分たちでもできる、食品ロスにもつながるSDGsの取り組みも教えてもらいました。
コロナ禍で子どもを預けられない状況になり、保育園のありがたさを痛感すると同時に、保育園こそ大切なインフラだと再認識した大橋さん。
保育士さんや子どもたちを応援したいという思いで、バナナの寄贈をスタート。その中で、この機会に学びの場を作ってほしいと依頼を受けたことで、当企画をスタートしました。
「子どもたちが前のめりでバナナに関する疑問に興味を持ってくれて良かったです!被り物も正解でしたね(笑)」と大橋さん。子どもたちにとって身近なバナナの不思議や食品ロスに関する問題をあらためて考える良い機会になりました。
エクアドルの魅力を知る
大橋さんのバナナジュースのお店で使われているバナナは、じつはすべてエクアドル産。さまざまなバナナを試したなかで、食感が良く、甘味が強くおいしかったのがエクアドル産だったそうです。それもそのはず、エクアドルは世界でも有数のバナナ生産量を誇るバナナ大国です。
そんなご縁もあって、イベントではエクアドルの大使館・ゴンサロ ゴンサレス公使と、通訳も兼ねた、商務部・近藤 恵美さんから、エクアドルの魅力をたっぷり教えてもらう機会も設けられました。
スペイン語で話すゴンサレスさんの言葉に耳を傾ける子どもたち。近藤さんの通訳によって、エクアドルの公用語がスペイン語であることも初めて知りました。
日本とはまったく異なる街並みや、豊かな自然、たくさんの野生動物などを動画で見ながら、初めて見るエクアドルに、目をキラキラさせながら、すっかり魅了された様子の子どもたち。
最後は、エクアドルで人気のダンスを披露してもらいました! 外国の踊りを間近で見るのは、多くの子どもたちにとっても初めての経験です。小気味のいい南米の音にのせて華麗に踊る姿に、手拍子で応えます。
「幼児との文化交流は初めてでしたが、エクアドルを紹介したときに、子どもたちがとても興味を示してくれたことに驚きました。なにより、バナナを通じてエクアドルを知ってもらう良い機会になりました。今後、バナナを見てエクアドルを思い出したり、いずれエクアドルに行ってみたいと思ってくれたらうれしいです」と話してくれたゴンサレス公使。
ちなみに、バナナはほぼ毎日食べているそうです。それだけエクアドルの人にとってバナナはごく身近な存在。バナナのことを深く知って、食品ロス問題を考え、エクアドルのことを知る……そんなSDGs&グローバルなイベントは、子どもたちにとって学びの場でもあり、興味深い内容でした。
また、この日に教わったたくさんのことを、子どもから保護者に伝えることで、大人も一緒にSDGsを考えるきっかけにもなります。こうして、東京児童協会では、SDGsを視野に入れた取り組みを保育に積極的に取り入れています。