
「3歳児を連れて雨の中遊びに行けない…」
「家での遊びがいつも同じアイデアになってしまう」
など、3歳児のお子さまをもつ保護者の方にとって、子どもを遊ばせる方法は悩みの種の一つではないでしょうか?
保育現場では、3歳児の子ども達の傾向として体の動かし方がわかっていない子どもが増えている印象があります。家庭で動画など見て過ごしていることが多いのかなと感じており、体を動かす経験を増やしていけるように意識しています。
このように保育現場でも体を動かす遊びは積極的に取り入れられていますが、雨の日や風の日、暑い日・寒い日など、お子さまを連れて外遊びに出かけられない日もありますよね。
そこで本記事では、3歳児の室内遊びのアイデアに悩んでいる方に向けて、一緒に楽しめるアイデアを合計16選紹介します。保育現場を知る当法人の知見をもとに、現役職員の所感や楽しみ方のアドバイスも掲載していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
3歳児の発育・成長の特徴について
3歳児の発育・成長には、以下のような特徴があります。
発達の種類 | 特徴 | |
身体の発達 | 身長・体重 | 身長・体重は生まれたときの約4倍に成長する |
体型の変化 | 乳児から幼児らしい体型へ変化 | |
行動の自立 | 着替えがある程度自分でできるように | |
運動能力の発達 | 動き | 走る・跳ぶ・投げるなどの動作ができるようになる |
バランス感覚 | 片足での「ケンケン」のような、バランス感覚が必要な動きが可能に | |
言語能力の発達 | 語彙力 | これまで2語文だった語彙が、3語文に増える
言葉の使い分けが少しずつ身に付く。 |
言語認識 | 数や形・色などを言語で認識できる | |
使い分け | 物や色・数・人の違い(親と先生など)に合わせて言葉を使い分けられる | |
精神的発達 | 疑問 | 「これはなに?」「どうして?」といった疑問を投げかけるようになる |
自己主張 | あれがやりたい、これはしたくないなどの自己主張が出てくる | |
社会性 | おもちゃを順番に使う、順番を待つなど、他者への思いやりも育まれる時期 |
また、厚生労働省が公表している「保育所保育指針」によると、3歳児は以下のような成長が見られる時期であるとされています。
この時期においては、運動機能の発達により、基本的な動作が一通りできるようになるとともに、基本的な生活習慣もほぼ自立できるようになる。理解する語彙数が急激に増加し、知的興味や関心も高まってくる。仲間と遊び、仲間の中の一人という自覚が生じ、集団的な遊びや協同的な活動も見られるようになる。 |
乳児期からの積み重ねによって、上記のような姿になるのが理想です。3歳から集団に入る子どもは、複数人の中で遊ぶのも初めは躊躇してしまう姿や玩具を譲るなども難しいこともあります。しかし、大人の話す内容の意味を理解し始めるのも3歳くらいからなので、関わっていく中で大人が目を向け、見守られながら友達と遊ぶうちに、少しずつ物の貸し借りやコミュニケーションができるようになっていきます。
このように、これまでの個人や親子といった少人数での遊びから、社会性を身に付けて集団的・共同的な遊びへと変化していくタイミングが3歳です。
家庭内で集団遊びをするのは難しい面もありますが、ご両親やご祖父母、兄弟・姉妹、お友達を含め、さまざまな人との関わりの輪を広げていきたいですね。
次項からは、3歳児の室内遊びについて、具体的なアイデアを合計16選紹介していきます。
3歳児とできる室内遊びのアイデア【集団遊び】
保育現場では、簡単なルールでないと理解ができずに集団遊びができない様子もあるので、3歳児の室内遊びにおいては、繰り返しながら少しずつできるように取り組んでいきます。ルールを理解して遊べるようになると、楽しむ姿や友達に教えてあげる様子も見られるようになりますし、小さな集団でもできる簡単な遊びから始めるのがおすすめです。
ここからは、上記を踏まえて保育の現場でも取り入れることがある、複数人で楽しめる3歳児とできる室内遊びの例を4つご紹介します。
- じゃんけん列車
- 新聞紙島
- だるまさんがころんだ
- フルーツバスケット
それぞれ簡単な遊び方や、正式なルールで遊ぶことが難しい場合のアレンジ方法について見ていきましょう。
じゃんけん列車
じゃんけん列車は、じゃんけんをして負けた人が勝った人の後ろに並んでいくゲームです。肩をもって前の人につながり、先頭の人は別の先頭の人とじゃんけんを繰り返します。どんどん長くなるので、列車のようにつながっていく仕組みです。
急に動くと危ないので、音楽をかけたりピアノの演奏をしたりして、リズムをコントロールしましょう。大人数でやるほど列車が長くなっていくので、集団で楽しめる遊びの一つです。
新聞紙島
新聞紙島は、2枚の新聞紙を用意し、交互に足場として並べながら移動していくゲームです。新聞紙の上を移動していくため、ゴールまでの並べ方を工夫したり、お友達と競ったりできます。また、大きい段ボールを用意して行えば、2人1チームで取り組むことも可能です。
だるまさんがころんだ
だるまさんがころんだは、3歳児ができる定番の室内遊びです。道具も必要ないため、すぐに始められる点が魅力で、壁際にいる鬼役の「だるまさんがころんだ」の掛け声に合わせて、少しずつ鬼役に背後から近づいていきます。掛け声と同時に鬼が振り返る際、ピタッと動きを止める遊びです。動きを止めるとき、さまざまなポーズを取るのも楽しめます。
フルーツバスケット
フルーツバスケットは、参加者それぞれにフルーツを割り当てて、輪になるように並べた椅子に座り、移動するゲームです。中央に鬼役が立ち、好きなフルーツの名前を言います。自分が割り当てられたフルーツの人が、席を移動するルールです。また、鬼役が「フルーツバスケット」というと、全員が席を移動します。少しルールが難しいゲームなので、最初はフルーツの種類を少なくして始めると良いでしょう。動物や乗り物、職業などでも楽しめます。
3歳児とできる室内遊びのアイデア【運動遊び】
3歳児は、運動神経にも個人差があるので運動遊びを取り入れる際には、大人が付く位置に配慮しています。うちわ風船リレーでは、うちわの方だけを見て前に進むので、周囲が見えていない場合もあり、注意が必要です。また、3歳児はまだ一つの事しかできないので、個々の発達に合わせた遊びを取り入れるようにしています。道具を使用しておこなう際は、まずは歩いてやってみようと声をかけ、少しずつ本来の遊びに近づけると良いと思います。
個人差はあるものの、3歳児は運動機能が発達していく時期なので、運動遊びを積極的に取り入れられると良さそうです。雨の日や風の日など、外遊びができないときでも室内で楽しめるおすすめの運動遊びを見ていきましょう。
- 色探しゲーム
- 虫取り網で紙吹雪キャッチ
- かみなりゲーム
- うちわ風船リレー
遊びごとのルールやアレンジ方法、注意点について解説します。
色探しゲーム
色探しゲームは、室内にあるものの中から、指定された色を探すゲームです。部屋中のものの中から探すだけでなく、床や壁にカラーシールを貼って、指定した色のシールにタッチする方法もあります。色の名前を覚える学習にもなるので、3歳児におすすめの室内遊びです。
虫取り網で紙吹雪キャッチ
虫取り網で紙吹雪キャッチは、チラシや新聞紙を破いて紙吹雪をつくり、投げて落ちてくるものを虫取り網でキャッチする遊びです。虫取り網がないときや、ケガをしないように配慮するのであれば、ビニール袋や広げたタオルなどでも代用できます。
かみなりゲーム
かみなりゲームは、「かみなり!」の掛け声に合わせて、おへそを隠すゲームです。仰向けに寝転がった状態でスタートし、鬼役の「かみなり!」という掛け声でおへそを取られないようにうつ伏せになります。かみなり以外の「か」がつく言葉を織り交ぜながら、モノマネを取り入れてなりきるのもおすすめです。子どもが小さいうちは、鬼役を大人がやると良いでしょう。
うちわ風船リレー
うちわ風船リレーは、風船をうちわで仰ぎながら落とさないように運び、リレー形式で行うゲームです。風船が割れる音に驚く可能性があるので、紙風船で行うのも良いでしょう。うちわで仰ぐのが難しい場合は、上に乗せて運ぶのもバランス感覚を養えるのでおすすめです。
3歳児とできる室内遊びのアイデア【ゲーム遊び】
3歳児とできる室内遊びのアイデアの中で、ゲーム性があるおすすめの遊びは以下の4種類です。
- 積み木でドミノ
- ボールで的当て
- 宝探しゲーム
- 言葉集めゲーム
それぞれのルールやアレンジ方法、難しい場合の簡単な取り組み方について解説します。
積み木でドミノ
積み木でドミノは、積み木をドミノのように立てて並べ、並べる長さを競うゲームです。指先の細かな動きや力加減が求められるため、手の繊細な動かし方を学べます。ぶつかって倒れてしまうことも多いので、少人数で行ったり、短い距離で遊んだりする方法がおすすめです。
ボールで的当て
ボールで的当ては、カラーボールを的に向かって投げて点数を競うゲームです。大きめの的を段ボールを使って作ったり、丸めた新聞紙をボールとして活用したりすれば、身近な道具で楽しめます。ボールをうまく投げるための運動能力や、点数を数える知識が身に付く遊びです。
宝探しゲーム
宝探しゲームは、室内のさまざまな場所におもちゃやお菓子などを隠して、探し当てるゲームです。親子はもちろん、お友達と一緒に複数人で行っても楽しめます。隠し場所を考える力や見つける達成感が得られるゲームです。入ってはいけない場所を伝え、ルールを身に付ける機会として活用するのも良いですね。
言葉集めゲーム
言葉集めゲームは、「あ」がつくもの「ま」がつくものなど、指定した言葉がつくものを部屋の中から集めてくるゲームです。言語能力が伸びる3歳児の室内遊びに適しています。「ま」がつくもので「ママ」をもってきたり、「あ」がつくもので自分の「足」をもってきたりと、子どもならではの可愛い発想が見られますよ。
ドミノは、並べているうちに別の子どもがやりたくなってしまい、倒してしまう様子もあるので配慮が必要です。室内遊びは、子どもたちみんなで楽しむ様子が見られます。宝探しゲームの場合は、範囲を絞り、見つけやすいところに隠して、見つけられた達成感を感じられるようにする方法がおすすめです。ボールの的当ても、距離を短くして、どんな子どもでも取り組みやすくするのが良いと思います。
3歳児とできる室内遊びのアイデア【ごっこ遊び】
3歳児とできる室内遊びの中で、ごっこ遊びのおすすめアイデアは以下の4選です。
- 忍者ごっこ
- ものまねごっこ
- 収穫ごっこ
- おままごと
それぞれの遊び方やアレンジ方法、機能発達や言語発達につなげる遊びのねらいについても解説します。
忍者ごっこ
忍者ごっこは、その名の通り忍者になりきる遊びです。かくれんぼのように「隠れ身の術」を使ったり、的当ての要領で折り紙で作った手裏剣を投げて遊んだりできます。小道具を工作できるバリエーションも豊富にあるので、手裏剣のほかバンダナや巻物などを作ってみるのも良いですね。
ものまねごっこ
ものまねごっこは、動きや声で動物やスポーツなどのものまねをする遊びです。名前を覚えるだけでなく、その名前が指す言葉の意味や動き、表現力を培うのに役立ちます。最初からチャレンジするのは難しいので、手遊び歌で少しずつ覚えたり、大人のものまねを当てたりして遊ぶことから始めるのもおすすめです。
収穫ごっこ
収穫ごっこは、大根や人参、サツマイモなどを工作して収穫する遊びです。牛乳パックから引き抜いたり、サツマイモのつるを千切ったりするのも楽しめます。工作で手指の細かな動きを覚えられるほか、食べ物の収穫体験を疑似的に取り入れることから、食育にも効果的です。
おままごと
おままごとは、家族ごっことも呼ばれる遊びです。お父さん・お母さん・おじいちゃん・おばあちゃんや、ペットになりきって日常生活を送る様子をごっこ遊びします。お母さんが複数人いたり、赤ちゃん役がいたりするのも面白いポイントです。
役になりきる遊びは、個々のイメージ力が必要になってくると思います。また、自分が経験したことがごっこ遊びで表現されることも多いので、家庭での家族の会話などがときどき出てきて可愛らしい姿も見られます。ごっこ遊びのポイントは、大人も仲間に入って子どもたちと一緒に楽しむことです。
室内遊びを通じて3歳児の成長を見守ろう
3歳児はこれまで大人がサポートしなければできなかった動作も、少しずつ一人でできるようになってくる時期です。着替えや食事などの日常生活だけでなく、遊びの面でも成長を感じられる場面が増えてきます。
遊びを通じて言葉や運動能力の発達、社会性、ルールについて学べるよう、積極的に幅広いアイデアを取り入れてみてくださいね。