
「うちの3歳の子の身長が低いような気がして不安」
「パパママが低身長でも子どもの身長はできるだけ伸ばしてあげたい」
など、お子さまの身長について不安を感じていたり、何かできることはないか模索していたりする方も多いのではないでしょうか?
保育の現場でも小柄な子どもが多くなっている実感があります。両親の背が大きい場合でも、小柄な子どもも増えているイメージです。
このように、実際の保育現場でも身長や発育に関して時代の変化とともに違いを感じています。3歳児は身長と共に手足も伸び、少しずつ乳児から幼児へと体型が変化していくタイミングです。そのため、周囲の子と比べて自分の子は小さいのではないか、と不安になる保護者の方が出てくる時期でもあります。
一方で、3歳児といっても、3歳0カ月と3歳11カ月では差が大きいため、発育の平均値や傾向はあくまで目安として考えていれば問題ありません。
3歳児の身長や体重の目安を知りたい場合、成長曲線をチェックしてみるのも方法の一つです。しかし、成長曲線の平均内に収まっていないと不安になってしまうこともありますよね。
そこで今回は、保育現場について詳しく知る当法人の知見をもとに、3歳児の身長・体重を含む成長の目安や、伸び悩む際に考えられる要因について、保育現場に携わる現役職員の所感とともに解説します。
また、お子さまの身長を伸ばすためだけでなく、心身の健やかな成長を促すために意識しておきたいポイントについても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
3歳児の身長・体重の目安と発育曲線
3歳児の身長・体重は、1歳・2歳の頃と比べて個人差が開き始める時期です。平均よりも小さくても、お子さまなりに成長できていれば極端に不安がる必要はありません。
また、同じ3歳児でも月齢によって平均値に差があるので、お子さまの月齢で平均値をチェックしてみてくださいね。
3歳児の月齢ごとの身長・体重の目安
3歳児の月齢ごとの身長・体重の目安は、以下の通りです。
3歳児の平均身長と平均体重 | ||||
男の子の身長 | 男の子の体重 | 女の子の身長 | 女の子の体重 | |
3歳0カ月 | 93.3cm | 13.7kg | 92.2cm | 13.1kg |
3歳1カ月 | 94cm | 13.9kg | 95.8cm | 13.3kg |
3歳2カ月 | 94.6cm | 14.0kg | 93.5cm | 13.4kg |
3歳3カ月 | 95.1cm | 14.2kg | 94.1cm | 13.6kg |
3歳4カ月 | 95.7cm | 14.4kg | 94.7cm | 13.8kg |
3歳5カ月 | 96.3cm | 14.5kg | 95.3cm | 13.9kg |
3歳6カ月 | 96.9cm | 14.7kg | 95.9cm | 14.1kg |
3歳7カ月 | 97.5cm | 14.8kg | 96.5cm | 14.3kg |
3歳8カ月 | 98cm | 15.0kg | 97.1cm | 14.4kg |
3歳9カ月 | 98.6cm | 15.1kg | 97.7cm | 14.6kg |
3歳10カ月 | 99.1cm | 15.3kg | 98.3cm | 14.8kg |
3歳11カ月 | 99.7cm | 15.4kg | 98.9cm | 15.0kg |
参照:低身長の基準|日本赤十字社芳賀赤十字病院
子供の平均体重・男子(男の子)版|スクスクのっぽくん
子供の平均体重・女子(女の子)版|スクスクのっぽくん
3歳0カ月と3歳11カ月では、差があることがわかります。また、男女差はそれほど大きくなく、どちらも身長平均は90cm台になる傾向です。
身長の差だけでなく体重の平均値も確認して、極端な肥満・痩せ傾向にならないよう、生活習慣を整えることが、お子さまの健やかな成長につながります。
3歳の1年間でどれくらい成長する?
3歳児は、1年間で身長が男の子で約6.4cm、女の子で約6.7cm伸びると言われています。また、体重は男の子で1.7kg、女の子で1.9kgほど増える傾向があります。
個人差があるためあくまで目安ですが、平均身長や平均体重に満たない場合でもある程度平均的な成長が見られるのであれば、過度に不安になる必要はありません。
身長や体重は、基本的に個人差があることなので過度に不安になる必要はありませんが、どうしても気になる場合には、早めに小児科や内分泌内科を受診して、専門的な治療を受けることが大切です。また、成長ホルモンの分泌と睡眠の関係性から、質の良い睡眠を心がけて、子どもの成長を促すよう意識していくことで発達を促すこともできます。
3歳児の成長の特徴
3歳児の成長は、身長・体重以外にもさまざまな特徴が見られます。具体的には、以下のような特徴です。
発達の種類 | 特徴 |
身体の発達 | 身長・体重は生まれたときの約4倍に。
乳児から幼児らしい体型へ変化していく。 |
運動能力の発達 | 走る・跳ぶ・投げるができるようになる。
片足で「ケンケン」ができ、体のバランス感覚も発達する。 |
言語能力の発達 | 2語文から3語文を話せるようになる時期。
数や形・色などの認識や言葉の使い分けもできるようになる。 |
精神的発達 | 「どうして」「これはなに?」といった疑問を感じられるようになる。
自己主張の発現と同時に、他者への思いやりも育まれる時期。 |
3歳児は生活面での成長が見られる時期なので、自分のことは自分である程度できるようになってきます。たとえば、衣服の着脱は大人の手がなくてもできる子も増えてきます。一方で、ときどきズボンの後ろのポケットが前にきている、なんてこともあるので、最後の確認はしてあげることが大切です。社会性の発達も見られ、言葉のやりとりをしながらお友達と遊ぶことも増えてきて、ままごと遊びなどを楽しむ様子が見られます。
このように、3歳は心身ともに大きく成長する年齢です。日々の生活の中でも、「少し前まで赤ちゃんだったのにとても成長した」と感じられます。
自分でできることも増えてくるため、安全に配慮しながら遊びを通じて運動や手遊びなど、さまざまなことにチャレンジしてみてくださいね。
3歳児の身長が伸びない要因と低身長の目安
3歳児の身長が伸び悩むとき、不安になる方も多いと思います。一般的に、3歳児の低身長とされる身長の目安は、以下の通りです。
3歳児の低身長目安 | ||||
男の子の平均身長 | -2SD | 女の子の平均身長 | -2SD | |
3歳0カ月 | 93.3cm | 86.4cm | 92.2cm | 85.5cm |
3歳1カ月 | 94cm | 87cm | 95.8cm | 86.0cm |
3歳2カ月 | 94.6cm | 87.5cm | 93.5cm | 86.6cm |
3歳3カ月 | 95.1cm | 88cm | 94.1cm | 87.1cm |
3歳4カ月 | 95.7cm | 88.5cm | 94.7cm | 87.7cm |
3歳5カ月 | 96.3cm | 89cm | 95.3cm | 88.2cm |
3歳6カ月 | 96.9cm | 89.5cm | 95.9cm | 88.8cm |
3歳7カ月 | 97.5cm | 90cm | 96.5cm | 89.3cm |
3歳8カ月 | 98cm | 90.5cm | 97.1cm | 89.8cm |
3歳9カ月 | 98.6cm | 91cm | 97.7cm | 90.3cm |
3歳10カ月 | 99.1cm | 91.5cm | 98.3cm | 90.9cm |
3歳11カ月 | 99.7cm | 92cm | 98.9cm | 91.4cm |
参照:小児科からの疾患メッセージ [3.低身長]|日本赤十字社
上記の表で「-2SD」と記載されている欄が、平均値から大きく下回る身長の目安です。これは平均値から、およそ7~9cmほど小さいことを示しています。一般的に、低身長に該当する子どもは全体の2%~3%程度で、100人いれば2~3人は体格の小さい子がいる計算です。それほど珍しいことではないため、過度に心配する必要はありません。
では、なぜ平均よりも身長が伸びない子がいるのでしょうか。3歳児の身長が伸びない要因には、以下のような例が挙げられます。
- 食が細い・偏食傾向など栄養面の不足
- 未熟児出生によるSGA性低身長※
- 睡眠不足や運動不足
- 心理的ストレス
- 遺伝(両親や親族の身長が低い)
※SGA性低身長:妊娠期間(在胎週数)と比較して、体重・身長が小さく生まれた子どもが、成長しても低身長のままの状態
複数の要因によって、身長が伸び悩んでいるケースもあるため、健診や予防接種のタイミングなどで相談してみるのもおすすめです。
パパママの身長は遺伝する?
子どもの身長は、パパやママの遺伝による影響もあります。両親や親族の体格が小さい場合、子どもも小さくなるケースは少なくありません。しかし、遺伝がすべてではなく、両親が小さくても大きく育つ子がいれば、両親が大きくても小さな子もいます。
そのため、「家系的に小さいから身長は伸びにくい」「両親とも高身長なのになぜ小さいのだろう」など、家族の身長を基準とする必要はありません。お子さま自身の1年間の伸び率などを見ながら、成長を妨げる要因がないかチェックしてみると良いでしょう。
低身長で心配なときの受診目安
3歳児が低身長で心配な場合、一度病院を受診して検査を受ける選択肢もあります。病気や疾患によって低身長になっているケースもあるため、不安な場合は小児科医への相談がおすすめです。
成長ホルモンの分泌に関連する問題を抱えていることもあるので、低身長(-2SD)に該当している場合は、健診や予防接種のタイミングに相談するか、かかりつけ医に相談して検査を受けてみましょう。また、成長曲線の平均値に該当する場合でも、年間の身長の伸び率が少ないときは相談してみてくださいね。
保育現場では、家庭での食生活に気になる様子が見られたら確認をするようにしています。初めての子育てで相談できる方がいないなどの場合、赤ちゃんの時からミルクの量が平均より少なめであったり、離乳食がうまく進まず食べることに興味がなかったりすることが多くあるためです。中には、お菓子など食べたいものや、食べられるものだけを口にしている家庭もあります。園では、食べられる品目が増えるように食材に触れる機会を設け、成長に合わせて食への興味が湧くように工夫しています。また、成長がゆっくりの場合には園医への相談を行い、健診時に診てもらったうえで、保護者の方に伝えることもあります。
3歳児の身長を伸ばすために意識しておきたい3つのポイント
3歳児の身長を伸ばすために意識しておきたいことは、以下3つのポイントです。
年齢に応じた運動を遊びに取り入れる
睡眠をたっぷりとる
栄養バランスの取れた食事をとる
それぞれ具体的な取り組み方の例や、うまくいかないときの対応方法について解説します。
年齢に応じた運動を遊びに取り入れる
3歳児の身長を伸ばすためには、健やかな心身の成長を促すために、年齢に応じた運動を遊びに取り入れることがポイントです。運動は、筋力の発達を促すだけでなく、適度な疲労感によって睡眠の質が向上するなど、子どもの成長にとってプラスに働きます。
3歳児と運動遊びを楽しむなら、フラフープやボールを使ったサーキット遊び、だるまさんがころんだ、かくれんぼなどがおすすめです。
一方で、大きな怪我をしないように、安全面への配慮は欠かさず行いましょう。遊ぶ場所を広く取り、転倒しても危険な物がない場所で遊ぶことが大切です。また、入ってはいけない場所や触ってはいけないものを伝えるなど、ルールを少しずつ学べるようにしていくのも良いでしょう。
関連記事:3歳児の遊びは表現力や思考力を育みたい!運動や自然にも親しもう
睡眠をたっぷりとる
3歳児の身長を伸ばすには、睡眠をたっぷりとることも欠かせません。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」によると、米国睡眠医学会(American Academy of Sleep Medicine)の研究では、1〜2歳児は11〜14時間、3〜5歳児は10〜13時間の睡眠が必要との情報が公開されています。また、小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間の睡眠時間の確保を推奨していることから、子どもは小さい時期ほどより長い睡眠時間の確保が必要です。
質の良い睡眠を取るためには、日中の活動量を維持することも欠かせません。体を動かす遊びを取り入れ、体力をたくさん消費した状態で就寝できるようにすると、しっかりと休息できます。
必要な睡眠時間には個人差があるものの、3歳児の成長を促すためにもたっぷりと睡眠がとれるよう、早めに就寝することを心がけましょう。
関連記事:3歳児の理想的な睡眠時間は?睡眠不足の影響と家庭でできる改善方法5つ
栄養バランスの取れた食事をとる
3歳児の健やかな成長には、栄養バランスの取れた食事も大切です。厚生労働省では、3歳児の食事について、以下のようなポイントを意識するように推奨しています。
3歳以上児の食事については、様々な食べ物を食べる楽しさが味わえるように、多様な食品や 料理を組み合わせるよう配慮する。また、仲間と一緒に楽しく食事したり、食べものの話題をす る機会を増やすことができるよう、食事の環境や食事の内容についても配慮することが重要であ る。 また、幼児期は、1回に食べることのできる量も限られ、1日3回の食事では必要なエネルギ ーや栄養素量を満たすことが難しい。したがって、間食は1日の栄養素を補う意味も大きい。そのような観点から、内容は、単なるお菓子ではなく牛乳・乳製品、いも類、ご飯類、果物類など、 食事でとりきれないものを加えるなど配慮が必要である。 |
引用:食事の提供と食育を一体的な取組とする栄養管理(幼児期の食事の留意点)|厚生労働省
具体的には、以下を意識して献立を組み立てると良いでしょう。
- 主食:ご飯・パン・麺など炭水化物を中心とした食材
- 主菜:肉・魚・豆腐・卵など、たんぱく質を多く含む食材
- 副菜:野菜・きのこ類・海藻を多く使った料理
- 汁物:味噌汁・お吸い物・具だくさんスープ・ポタージュなど
- 果物:イチゴ・バナナ・りんご・みかんなど食べやすい旬のもの
子どもの好き嫌いや偏食傾向などによっては、思うように栄養バランスが取れないこともあるでしょう。偏食傾向のある子には、少量ずつ出して完食できる達成感を実感できるようにしたり、苦手な食材を細かく刻んで食べやすくしたりするのもおすすめです。毎日完璧な栄養バランスをとることにこだわるのではなく、食べることを楽しめるように絵本で知識を身に付けたり、興味を惹いたりすることから始めるのも良いですね。
保育現場では、たくさん太陽の日差しを浴びながら体を動かすことを大切にしています。太陽の光は良質な睡眠を促すと言われているため、できるだけたくさんの戸外遊びを取り入れた活動をすることがポイントです。しかし、小さなうちから筋肉を付けすぎないように意識しています。
間食については、おやつ=甘い物だけではなく、小さなおにぎりなどで栄養を補うなど工夫をするのもおすすめです。市販のものでは、素材の甘味があるものなどが良く、塩分の少ない野菜チップなどがおすすめです。小魚や干し芋なども良いですね。
3歳児の身長だけでなく健康を意識した生活が大切
3歳児の身長は個人差もあるため、小さいことを理由に過度に心配する必要はありません。とくに食事は、摂取量や好き嫌い、偏食などの要因でも左右されるため、神経質になりすぎず、お子さまの個性に合わせてあげましょう。
子どもの成長は、日々の生活習慣によって左右される面も多くあります。日中の運動量は足りているか、栄養バランスに過不足はないかを意識し、質の良い睡眠につなげるサイクルが大切です。一方で、生活習慣の大切さはわかっていても、お子さまの個性によってはうまくいかないこともあるでしょう。
そのような場合は、野菜を刻んだり運動遊びをたっぷり行ったりして、工夫を凝らしながらお子さまに合う方法を模索していくことがポイントです。
ただし、低身長は病気やホルモンバランスの影響を受けているケースもあります。生活習慣に工夫を凝らしてもうまくいかない場合や、過度な偏食や睡眠不足などが心配なときは一人で悩まず、小児科医に相談してみてくださいね。