東京児童協会が運営する21の保育園のひとつ、新宿にある「新宿三つの木保育園もりさんかくしかく」では、卒園する子どもに向けた卒園遠足の代わりに、オンラインツアーに参加。企画実施の経緯を含め、その様子をレポートします。
オンラインツアーに初参加!
同園では、例年上野動物園やすみだ水族館など、さまざまな場所で行っていた卒園遠足。ですが、コロナ禍においては実現しづらいこともあり、代替案を模索していた中でオンラインツアーを見つけました。
オンラインなら、園内にいながらにして世界旅行も可能。これはまさにコロナ禍における卒園遠足にピッタリだと確信。加えて、いつもとは異なる経験ができるのもまた子どもたちにとっても新鮮そのもの。もともと異文化交流なども積極的に行ってきたこともあり、世界中どこでも旅行が可能なオンラインツアーなら園の趣旨にも沿った内容です。
ましてや現実的に卒園児たちが世界旅行に行くことは難しいだけに、今回の企画は子どもたちにとってきっと心に残る思い出の一つになるはずです。
さまざまあるオンラインツアーの中で、森の中にオラウータンを探しに行くツアーだったり、迷子になった象を保護している施設の日常を見られるツアー企画なども候補に上がありました。ですが、最終的に卒園児と相談した結果、今回は「オーストラリアのケアンズ水族館」のオンラインツアーに参加することになりました。
オーストラリアの水族館を探索!
いよいよ、オーストラリアのケアンズ水族館のオンラインツアーがスタート。現地の日本人スタッフがライブ中継してくれるリアルタイムのオンラインツアーです。今回は、東京児童協会が運営する3つの園が同時に参加しました。
水族館があるケアンズは、世界遺産でもある「グレートバリアリーフ」に程近い場所。そんなグローバルな話も紹介してくれるまたとない機会に、ワクワクする子どもたち。
いざ現地スタッフが水族館の中に入ると、海の生き物たちが画面を通して映し出され、子どもたちは画面に釘付け!
ウツボが映ると「気持ち悪い!」「怖い!」とまるでホンモノを見ているような反応をする子どもたち。
メインとなるグレートバリアリーフに住む生き物の水槽では、サンゴ礁が生息する中、子どもたちに人気のエイが気持ちよさそうに泳いでいます。ほかにも、ナマズや、バラマンディ、ヘビ、トカゲ、ワニなどさまざまな生き物が画面に登場します。
子どもたちは「おたまじゃくしがいる!」「ワニがいる!」「迫力満点!」と、画面に映った陸や海の生き物に夢中です。大きな魚や小さな魚、子どもに人気のクマノミなど、たくさんの陸や海の生き物をリアルタイムで観ることができました。
ツアーのアテンドスタッフから海の生き物にちなんだクイズの出題もあり、子どもたちは大盛りあがり。みんなで協力して答えを探す工程も楽しいもの。
「ワニは動きますか?」という卒園児。スタッフからは「エネルギーを温存するために比較的じっとしていることが多いんですよ」と回答をもらっているまさにそのとき……画面に映っていたワニが突然動き出す場面もありました。
「あ!動いた!」と子どもたちから歓声が上がります。リアルタイムのオンラインツアーだからこそのシーンに大興奮の子どもたち。
海外の水族館ということもあり、海の生き物の英語名がクイズになることも。普段なら、カードや絵本で英語を教わっているものの、ライブ映像を通してなら、より子どもの好奇心を刺激されること間違いなし!
さまざまな水槽を前にして、生き物の生態を教わったり、クイズに挑戦したり、子どもたちは終始楽しそうに過ごしていました。
オンラインツアーを終えて…
「現代はネットを介してさまざまな情報を学んだりふれたりすることができるので、園として保育の根幹にある“ホンモノにふれる”ための材料や挑戦するための準備という側面で、オンライン企画を活用するのも一つの手だと再確認できました」と話してくれた園長先生。
これまで、オンラインで保育を行ったことはあったものの、オンラインツアーは初めての試み。だからこそ子どもたちが画面を観るだけになってしまいわないかという不安もあったそう。ですが、現地スタッフから掛け合いなどもたくさんあり、子どもたちが楽しそうに過ごす様子を見て、すぐに不安も解消されました。
また、今回東京児童協会が運営する3つの園それぞれから参加したことで、希薄になりがちなコロナ禍でも、同じ時間を共有でき、仲間のつながりも再確認できた良い機会にもなりました。
初めてオンラインツアーが実施されたのは、「新宿三つの木保育園もりさんかくしかく」の園長先生をはじめ、保育士たちが、コロナ禍においても子どもたちが楽しめて、学ぶ心や興味・感心を育てるための保育を日々考えているからこそ。実体験を大切にしながらも、コロナ禍という現在の環境に適した新しい試みは、子どもたちにとっても楽しい思い出に。
実際にオンラインツアー後は、卒園児がオンライン水族館を話題にしたり、教わった英語を口にすることもあったそう。子どもたちの心には、たしかにオンラインツアーで観たり・聞いたりしたことが学びに、また楽しい思い出の一つになったようです。