0歳児は、身体と心の発達が特に著しい時期です。子育てをしていると、子どもの発達に驚かされたり、悩みを抱えることも多いはずです。0歳児の発達の特徴と、発達に合った関わりとは?
0歳児を育てるうえで知っておきたい、身体と心の発達について解説します。
目次
新生児期の発達
赤ちゃんが誕生してからの1ヶ月間を、新生児期と呼びます。泣くことで、空腹や眠たさ、排泄などの不快感を伝える時期です。泣いて知らせた不快感を親に取り除いてもらうことで、「心地よい」「満たされる」という快の感情が生まれます。
不快を取り除き、快の状態にしてくれる大人に対しての、信頼感が芽生えるのもこの時期です。新生児の1ヶ月間は、外の世界に適応するために重要な時期ですので、特に注意深く関わり、様子を見守るようにしましょう。
昼夜の区別なく授乳と睡眠を繰り返し、外の世界に適応していきますので、赤ちゃんのリズムに合わせた関わりが大切です。
首のすわりから伝い歩きへ
生まれてしばらくは、自分の意思で身体を動かすことが難しい0歳児。徐々に自分の意思で身体が動かせるようになり、運動機能が発達していきます。個人差が大きい時期ですので、月齢はあくまで目安です。子ども自身の発達を、焦らずに見守るようにしましょう。
首の座りから伝い歩きへの、運動機能の発達について解説します。
首のすわり
生まれてすぐの赤ちゃんは自分で首を動かすことができません。抱くときも、しっかりと首を支えていないと安定しない状態です。しばらくすると、自分で首を動かして音のする方に顔を向けるようになります。
しかし、この時点でもまだ首はすわっていません。首がすわるのは生後4~5ヶ月の頃です。このころには抱くときに首を支えなくても安定するようになり、腹ばいにすると首を自分で持ち上げる姿が見られます。
仰向けにして手を持って起こすと頭が上がるようになれば、首のすわりの完了です。首がすわる時期は個人差が大きいので、腹ばいでの遊びなどをとりいれながら焦らず見守りましょう。
寝返り
寝返りとは、仰向けの状態から身体をひねって回転させ、うつ伏せの状態になることを示します。初めは、横向きにはなれてもうつ伏せになれなかったり、腕が抜けなかったりと突然できるようになるわけではありません。
また、寝返りでうつ伏せの状態にはなれても、仰向けに戻れない時期もあります。手助けをしながら、寝返りの援助をしてあげると良いでしょう。自分でうつ伏せになれると視界が変わり、興味が広がります。
お座り
生後6ヶ月頃になると、後ろから支えてあげることで、お座りの姿勢がとれるようになります。その状態から少し手を離しても座る姿勢が保てるようになり、支えがなくても座れるようになればお座りの完成です。
お座りができると両手が使えるようになり遊びの幅が広がりますし、見える範囲も広がるので、赤ちゃんはお座りで遊ぶことをとても喜びます。
しかし、お座りができるようになったばかりの頃は、不安定で転倒の危険がありますので、必ず大人が傍についたりクッションなどを周りに置き、怪我を防止しましょう。
ハイハイ
うつ伏せの状態で遊んでいるときに興味のあるものを見つけると、両腕を使って移動し、目的のものや人の所まで行こうとするようになります。これがハイハイの第一段階である「ずりばい」です。初めは後ろに進んでしまうことが多いですが、徐々に前進できるようになります。
8ヶ月を過ぎると、一般的にハイハイと呼ばれるよつばいの姿勢での移動ができるようになる赤ちゃんも増えるでしょう。しかし、ハイハイの方法は赤ちゃんによってさまざまです。よつばいからさらにおしりをあげて高ばいをする赤ちゃんもいますし、ハイハイの姿勢を嫌がり、お座りの姿勢で両手を使っておしりを持ち上げながら移動する赤ちゃんもいます。ハイハイをせずにつかまり立ちからつたい歩きで移動を始めることもあり、ハイハイをしなくても発達には問題ありません。
しかし、ハイハイは腕や足の筋力をつけ、身体のバランス感覚を身に付けるために効果的です。ハイハイの時期を過ぎてからでも、遊びの中にハイハイを取り入れることもおすすめです。
つかまり立ち
赤ちゃんはハイハイで自分の好きな場所に移動する中で、テーブルや棚に手をかけ、立ち上がろうとするようになります。初めはすぐに座り込んでしまったり、不安定な様子が見られますが、足の筋力の発達とバランス感覚を身に付受けることで徐々に身体を支えられるようになるのです。
つかまり立ちをすることで、赤ちゃんの視界は急激に広くなります。高い位置から周りを見渡せることで、さらに興味も広がり、その場所に行ってみたいという思いからつたい歩きへの挑戦へとつながるのです。つかまり立ちを始めたばかりの頃は転倒の危険性が高いので、必ず大人が傍につくようにしましょう。また、テーブルの上に誤飲につながる物や危険な物を置かない配慮も必要です。
つたい歩き
つかまり立ちができるようになると、好きな場所に行きたいという思いから、物をつたってのつたい歩きが始まります。赤ちゃんがつたい歩きをしやすいように、低めのテーブルやベビージムの設置もおすすめです。
しかし、ハイハイでの移動に満足して、なかなかつたい歩きをしない場合もあります。ハイハイを十分にさせてあげることは、赤ちゃんへのメリットも大きいので、無理をさせずに見守ることが大切です。
気になる場合には、赤ちゃんの手を持って歩いてみたり、つかまり立ちをしながら遊べるおもちゃを用意しても良いでしょう。遊んでいるうちに自然と移動をして、つたい歩きができるようになることもあります。
大人との関りから育まれる心の発達
0歳児は、自分の要求に応え不快な状態を取り除いてくれる大人に対して、信頼感を持ち始めます。世話をしてくれる特定の大人を全身で覚え、愛着関係を築こうとするのです。
この愛着関係の築きが、0歳児の心の発達と情緒の安定には不可欠です。信頼できる大人にあやしてもらうなどのやりとりを通して人との関わり方を学び、見守られているという安心感から身の回りのものに興味を持ち、探索活動が活発になっていくのです。だからこそ、赤ちゃんと関わるときには、赤ちゃんの要求に十分に応え、安心感を与えられるようなコミュニケーションをとる必要があります。
だっこやおんぶなどのスキンシップを十分に行うことは、赤ちゃんとの愛着関係を築くうえで効果的です。赤ちゃんは信頼できる大人とのスキンシップを喜び、愛されていると実感します。自分は愛されていると実感できる環境で過ごすことで情緒が安定し、意欲的に遊ぼうとしたり挑戦してみようとする心の発達につながるのです。
泣くことでのコミュニケーションから言葉の発達へ
生まれたばかりの0歳児は、泣くことで自分の欲求を伝えます。眠たい、お腹が空いたなどの不快感を、泣くことでしか表せないからです。しかし、次第に生理的な欲求だけではなく「抱っこをしてほしい」「甘えたい」など何かを伝えたくて泣くようにもなります。
また、笑うことで心地よさを伝えたり、喃語で欲求を伝えることができるようにもなります。泣くことは赤ちゃんと大人の、大切なコミュニケーションです。泣くことでのコミュニケーションをへて、表情や喃語でのコミュニケーション、簡単な言葉での意思疎通が始まります。赤ちゃんが泣いている理由をくみ取ってあげること、喃語を優しく受け止め言葉がけを十分に行うことが、赤ちゃんの気持ちを安定させ、言葉の発達を促すことにもつながるのです。
言葉が出始める時期は個人差が大きいですが、言葉が出ていなくても、早い時期から大人の話す簡単な言葉が理解できていることも少なくありません。子どもの伝えようとしていることを受け止め、丁寧な言葉がけを意識してみましょう。
まとめ
0歳児の発達には、大人との関わりが欠かせません。発達状況を把握し、そのときどきに合った関わりを意識しましょう。信頼できる大人に見守られているという安心感や心地よいと感じる関わりから、心や言葉の発達、ひいては運動機能の発達につながっていきます。