未曾有のコロナ禍において、さまざま施設では対策を講じる必要性がありました。未来を担う子どもたちを預かる保育園や幼稚園などもその対応に迫られました。

右: 園長・馬場与志子先生/左:主任・吉川愛先生

そこで、東京児童協会でコロナ対策プロジェクトチームのリーダーを兼務する、すみだ川のほとりに笑顔咲くほいくえん・園長の馬場与志子先生と、同園主任・吉川愛先生に、緊急事態宣言時だった当時の園の様子や対策を伺いました。

コロナ禍での園の様子はどうだった?

馬場先生
「コロナ禍では、誕生日会を半分の人数にしたり、歌うことをやめたり、食事のときは今までは保育士と同じテーブルを囲んで食べていたのが、近くでサポートに徹して子どもたちだけで食べるようになったりなど、そういった部分では大幅に環境の変化はありました」

園の職員間でも、行事などのイベントがなくなったり、会議がZOOMになったりなど、スタッフ間でも状況変化はありつつも、さほど大きなトラブルはなかったそう。

それは、法人全体として約1年かけて作成した「コロナ禍の対応」に準じていたから。

馬場先生は長年救急病院で看護師として活躍された、異色の経歴を持つ園長先生。元医療従事者の知見を活かして、同法人内のコロナ対策プロジェクトのリーダーとしてさまざまな対策を講じてきました。

馬場先生
「当時はコロナ感染防止対策に関する様々な情報を集め、今では当たり前になった感染対策方法を実際に園で運用できるよう、いち早くまとめました。状況に応じて、複数パターンの対応策を細かくルール化してまとめていました。それに準じた対応を行っていたこともあり、大きなトラブルなく、過ごすことができたのは良かったです」

馬場先生
「当法人は、大小さまざまな園がありますが、各園の職員同士で連絡を取り合い自園に合う対策を日々行ってきたこともトラブルが少ない要因のひとつです。」

万が一のときに備えて、すぐに対応できるよう細かくルールを定めているからこそ、状況に応じて臨機応変に対応できる万全の体制が整っています。また、いつどこでだれと接触したのかなど、行動をデータ化するなど、徹底した対策も。

コロナ禍で困ったことは?

吉川先生
「コロナで予定していた行事がなくなったり変更することはありましたが、スタッフの作業量も減った部分はあったものの、大きく困ったことはありませんでした。ただ、園としての子どもたちの受け入れ体制を保護者の方に理解していただくために、職員間でよりベストな方法を常に試行錯誤して話し合っていました」

馬場先生
「当園は園児が約65人、職員が約20人という小規模なので、その点も大きなトラブルなくスムーズに進められた要因かもしれません。なにより、保護者の方が快く状況を理解していただいたことは感謝しています」

緊急事態宣言下の休園中の対応は?

園では、突然の休園に、保護者や子どもが戸惑うことなく日常生活を送れるように、電話やお手紙など様々なコミュニケーションを図っていました。

もともと、連絡帳代わりに使っていた端末があり、それをコミュニケーションツールの一つとして活用したそう。対面で接することができないからこそ「つながり」を感じてもらうことはなにより大切なことです。

吉川先生
「墨田区では4月の中旬から5月末まで休園をしていました。その間子どもたちと保育士のあいだでお互いに声を聞いたり、電話で近況を聞いたりしてコミュニケーションを図っていました。また、専用の端末を使って、園の情報や職員の写真、クイズなどを日々配信することで、つながりが途切れないよう対策を行っていました」

離れていてもお互い励みになるようにと、心温まる対応を心掛け、大きな封筒に手紙や手作りメダルなどを入れて各家庭に郵送するなどを行っていました。そのおかげで、休園明けは、コロナ対策を行いつつ比較的スムーズな保育生活を送ることができました。

休園中の職員や保護者への対応は?

馬場先生
「当時は、毎日ズーム会議で現状を報告し合うなど、職員間でもコミュニケーションが図る対策を行っていました。孤立しがちな各園長が不安を抱かないように、法人としてグループ園長会議や代表者会議をしたり、手作り玩具を作ったりなど、遠隔で連携を取っていたので不安なく過ごすことができました」

吉川先生
「4月だったこともあって、入園したばかりの保護者の方で不安を感じていた方もいらっしゃいましたが、都度対応させていただいたことで、大きな問題もなく過ごすことが出来たのではないかと感じています。行事の中止に対する不安の声もありましたが、内容を変更して開催するなど、対応策を保護者の方に事前に説明し、内容を変更して開催するようにしました。」

職員が孤立することなく、ZOOMなどのツールを使って密に連携を取ったり、保護者へ丁寧な説明をすることで、トラブルなく過ごすことにつながりました。また、以前は事務局に集まって実施していた会議などは、コロナ禍での対応の中で、ズームを活用するなど、図らずも効率化につながりました。

Withコロナ時代の現在において、園としては、状況に応じた感染対策、園児や保護者への対応、職員間の連携など、さまざまな課題に直面しながらも、よりよい保育を目指して日々取り組んでいます。

ONE ROOF ALLIANCE ワンルーフアライアンス

ONE ROOF ALLIANCE ワンルーフアライアンス
現在、都内22の認可保育園と認定こども園を運営する「社会福祉法人東京児童協会」と、企業主導型保育園や学童保育の運営、海外への保育事業を展開する「株式会社ONE ROOF」が主体となり、新しい子育て社会を実現していくネットワークです。