1歳児の発達は遊びに密接に関わりがあります。遊びという経験を通じて、身体の使い方や各部分の結びつき、他者の認識といった能力が向上するのです。そこで遊びと発達の関係、月齢ごとのオススメの遊びをご紹介します。
目次
1歳児にとっての遊びとは?
大人にとっての遊びとは異なり、1歳児も含めて子どもにとっての遊びは成長に直結します。たとえば、何かを追いかけることひとつをとっても、しっかりと歩き、走れるようになるなど運動能力の発達につながるのです。
他にも自ら道具を使って遊ぶことを通じて自発性が身につきますし、ほかの子どもと一緒に遊ぶことで自己以外の他者へも関心を寄せるようになります。ふれあいや、時にはけんかもありますが、人間として生きていくうえで必要な過程です。
それではどのような遊びを経験すると、発達を促せるのでしょうか。具体例を見てみましょう。
代表的な遊びと効果
ひとことに遊びといっても、その内容によって期待される効果が異なります。ここではいくつかの例を挙げて、1歳児の遊びがどのような発達に役立つのかをご紹介します。
なぐりがき
何もない紙などの上に、自らが何かを描き出したということは1歳児にとっては特別なこと。ペンを握って描くという体の動かし方を覚え、さらに表現の楽しさや創造力も養われるでしょう。
粘土など感触遊び
何度でも形が変わる粘土は、たのしく手指を動かす訓練になります。自らの手が好きな形を作れるということで、なぐりがき同様に創意工夫も育くまれます。
滑り台
なんども登り降りを繰り返すことにより、脚の安定性やバランス感覚の発達が見込めます。ただし、成長に適した規模の滑り台で、大人の監督のもと安全に遊ぶよう心がけましょう。恐怖心を抱かないように、室内用の小さい滑り台から始めるとよいかもしれません。
(コップなどの)水のあけ渡し
コップなどの容器から水を移すと、水自体への興味を持つようになります。また、繰り返すことでこぼさないように量を調整するなどの感覚が身につきます。
上記に挙げたのは遊びの一例。発達に応じた遊びをすることが、楽しく成長を促すためには重要です。次の項目では月例ごとにオススメの遊びを紹介します。
1歳3か月ごろの遊び
触れるものすべてが新しいこの時期には、さまざまな感覚と出会う遊びがオススメです。遊びを通じて「いじる、つまむ、丸める、破く」など生活にまつわる感覚を身につけます。
また大人の行動をまねる、というのも子どもにとっては立派な遊びです。おもちゃの電話をかける、絵本をめくる、食べたり飲んだりするマネを自らはじめます。こうした身近にあるものを利用した遊びは、体の各部を動かす訓練にもなります。
歩き方がしっかりとして活発に動くようになれば、おもちゃの車に乗る、ボールを投げる・蹴る、モノを持ち運ぶ、映像や音楽に合わせて身体を動かすという、多少の力やバランス感覚が必要になる遊びもいいでしょう。
遊びを通じて基本的な感覚が養われてくれば次のステップです。1歳6か月ごろにオススメの遊びをご紹介します。
1歳6か月ごろの遊び
さまざまな感触を経験し感覚が発達してきた1歳6か月ごろには、1人でもできる遊びや簡単な設定のある遊びがオススメです。
一人遊びはブロックつなぎ、砂遊び、パズルなどを繰り返しじっくり取り組ませてみましょう。こうした遊びで集中力が養われます。また、大人は子どもの興味や関心がどこにあるのかを発見できるかもしれません。
他方、簡単な設定のある遊び、つまり「ごっこ遊び」は、何かをあるものに見立て、役割になったつもりをしてみます。具体的にはままごと、人形をおんぶ・寝かせる、容器に砂を入れて食べ物に見立てるなどです。こうした遊びでは、自分以外の設定があることにより他者の存在に気が付くきっかけとなります。
単純に体の各部を動かすだけでなく、集中することや他者の認識をし始めてきたら、次のステップです。1歳9か月ごろにオススメの遊びをご紹介します。
1歳9か月ごろの遊び
小さい範囲の遊びを通じて発達した身体各部を使って、より大きく体を使った遊びに挑戦してみましょう。複合的に体を使う遊び(滑り台、ジャングルジム、鉄棒、段差の上り下り、三輪車など)や、複数での遊び(逃げる・隠れるなど)で、自分の体を制御した遊びに挑戦させてみましょう。
遊具などは他の子どもと譲り合って利用しますので、順番を守ることなど秩序を知るきっかけにもなります。さらに身体の各部がコントロールできると、次第に予測の難しい自然のものに触れた遊びや、より高度な「潜る」などの遊びにも対応できるようになっていくでしょう。
遊ぶ上での注意
1歳児の遊びでは大人の手助けや監督が必須です。初めてのおもちゃはどのように遊ぶのか見せてあげると興味や関心が深まりますし、模倣やごっこ遊びでは大人とのやり取り自体も楽しんでいます。
遊具なども最初は他の子どもを観察させて使い方を学ばせ、実際に使うときは介助をするなどから始めてみましょう。また、1人で遊ぶようになっても目を配るようにしましょう。
まとめ
さまざまな遊びや月例ごとの遊びをご紹介しました。1歳児は遊びを通じて、身体面でも情緒面でも大きく発達します。しかし、どの遊びができなければいけないということではありません。小さなものから段階を踏み、さまざまな遊びに挑戦をして多様な能力を伸ばしてあげることが重要です。