保育園での食育って何をしているの?狙い、活動例、家庭での応用まで紹介
「保育園では、どんな食育をしているの?」
「保育園での食育の狙いが知りたい」
「保育園での食育を家でも取り入れたいものの、方法がわからない」
このような疑問、お悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか?
食育はお腹がすくリズムを整えたり、誰かと食事をしたいと思う気持ちを育んだりするのに効果的だと言われており、保育園各所でも食育を取り入れる園が多く見られます。
そこでこの記事では、保育園での食育の狙いや具体的な活動例、さらに家庭でも実践できる食育の応用方法をわかりやすく解説します。3分ほどで読める内容ですので、ぜひご覧ください。
目次
そもそも食育とは?保育園での重要性
食育とは、子どもたちが食べることを通じて健全な心と体を育むための教育です。食育活動を通じて、子どもは食事の楽しさを学び、豊かな人間性を育成する基盤を作ります。
食育に期待できる効果は以下の通りです。
- お腹がすくリズムができていく
- 好きなもの、食べられるものが増える
- 誰かと食事をとりたいと思う社会性が育まれる
- 食事作りや準備に関わりたいと思う
- 食に興味を持つ
厚生労働省が定める「保育所保育指針」においても、食育の推進が明記されています。保育園における食育の在り方については、下記の通りです。
以下、「保育所保育指針」より引用:
“ア 保育所における食育は、健康な生活の基本としての「食を営む力」の育成に向け、その基礎を培うことを目標とすること。
イ 子どもが生活と遊びの中で、意欲をもって食に関わる体験を積み重ね、食べることを楽しみ、食事を楽しみ合う子どもに成長していくことを期待するものであること。
ウ 乳幼児期にふさわしい食生活が展開され、適切な援助が行われるよう、食事の提供を含む食育計画を全体的な計画に基づいて作成し、その評価及び改善に努めること。栄養士が配置されている場合は、専門性を生かした対応を図ること。”
しかし食育と一言で言っても、年齢ごとに最適な食育は異なります。そこで次の章では、保育園での年齢別の食育の狙い、メリットをみていきましょう。
【年齢別】保育園の食育のねらい&子どもへのメリット
子どもは成長とともに身体的・精神的な発達段階が異なります。そのため、各保育園では年齢に応じた食育を行っています。そこでここでは、以下の年齢別の食育のねらいとメリットをそれぞれみていきましょう。
- 0~1歳児(乳児期)
- 2~3歳児(幼児期前期)
- 4~5歳児(幼児期後期)
0~1歳児(乳児期)
授乳期は、一生を通じての食欲や食べることに関する意欲の基礎作りが重要とされています。そのため保育士は、目と目を合わせて子どもに声をかけながらミルクを飲ませることで、心の安定をサポートします。
離乳期は、少しずつ食べ物に親しみながら咀嚼と嚥下を体験する時期です。そのため、保育士は、ご飯を食べたという満足感に共感することで、子どもの食べる意欲を育みます。
離乳期後期には、自ら進んで食べようとする力を育む時期です。そのため、保育士は子どもが自分の目で食べ物を確かめ、掴み、口に入れる、という一連の手づかみ食べを支援します。手づかみ食べはその後のスプーンや食器にも興味を持ち始めるきっかけとなります。
2~3歳児(幼児期前期)
幼児期前期は、食事のマナーを身に着ける時期です。そのため保育園では、食前、食後の挨拶を指導したり、食事中の姿勢や食器の持ち方なども指導します。また、野菜の栽培、収穫、調理をサポートすることで、食材への興味を育てるのも保育園の食育のひとつです。
その他、食に関する行事を開催したり、異年齢での食事の機会を設けたりすることで、友達と一緒に楽しく会話をしながら食事を楽しめるようにサポートします。
4~5歳児(幼児期後期)
幼児期後期は、自立した食行動の確立を目指します。そのため保育園は子どもに対し、食事を通じて感謝の気持ちを育んだり、規則正しい食習慣を身に着けたりするサポートを行います。
具体的には、
- 主食・おかず・汁物をバランスよく食べる指導
- 給食の準備~後片付けを友達と協力して実行するためのサポート
- 食文化への興味関心を持つための食に関する行事の開催
などです。
子どもの食材への興味を深めたり、偏食の改善にもつなげたりするために、調理体験や野菜の栽培活動を取り入れる園も多くみられます。
参考:「食を通じた子どもの健全育成(-いわゆる「食育」の視点から-)のあり方に関する検討会」報告書について
ここでは保育園の食育の狙いや取り組みの概要を紹介しました。次の章ではより具体的に、保育園で行われる食育イベントについて掘り下げていきます。
保育園で実施される食育イベント例3選
保育園で行われる食育イベントは、子どもたちの健やかな成長と食に対する興味・関心を育むために、多彩な食育プログラムが実施されています。その中でもこの記事では以下の3つに焦点をあてて解説します。
- 調理体験
- 栽培・収穫体験
- 季節の行事食体験
調理体験
調理体験は、子どもが調理はもちろん、社会性を身につけるために実施されるイベントです。ここでは昭和こども園で行われたパン工房見学と、パン作りの食育イベントを紹介します。
このイベントは年齢別に内容を変えて企画されており、2、3歳クラスでは午前中のお散歩時間を兼ねてパン屋さんの見学を実施。焼きたてのパンが並んでいく様子をめずらしそうに見ながら、子ども達は「おいしそ~!」「パンだぁ!」「いっぱいあるね!」と工房を見た感想をお友達と共有していました。
4、5歳クラスはパン作りに調整しました。パン生地をこね、オーブンでパンを焼き、最後は自分たちで食べるところまで体験するといったものです。普段口にする食べ物がどのように作られているのか、食育イベントを通じて食べ物への感謝の心や興味を育む機会となりました。
【関連記事】:ポワン・エ・リーニュで工房見学とパン作り体験を!|昭和こども園」
栽培・収穫体験
栽培、収穫体験は、子どもの食材に対する興味や感謝の気持ちを育むために行われます。こちらも多くの保育園で取り入れられている食育イベントのひとつです。普段食べている食べ物が、どのようにして育っていくのか、その過程を知ることはもちろん、自ら育て収穫するという一連の流れを経験できることで、食べ物のありがたみを感じるようになります。
また、友達と一緒に野菜を育てる環境を通じて、友達と一緒に食について考える機会を増やすきっかけにもなります。
季節の行事食体験
保育園の中には、季節ごとの伝統的な行事食を体験できるイベントを開催している園もあります。行事食体験では、季節ごとに異なる特別な料理を作る経験ができるため、食べ物と文化の関係を学ベるのが特徴です。
具体的には、ひな祭りや端午の節句、七夕、クリスマスなどの季節行事に合わせて、栄養士が考えた特別なメニューを用意したり、ゲストを招いて行事食を体験したりします。
中には、子どもがより食に興味を持てるよう、親子で参加できる食育イベントを開催している保育園もあります。ぜひ以下のページも参考にしてみてください。
【関連記事】:星付き料理人×園児によるおもてなし和食創作イベン ト 「1日限定!こども料亭」 | 新宿富久ソラのこども園
家庭でもできる!保育園の食育の応用方法とは?
保育園での食育は家庭でも実施することができます。例えば、次のような食育アイデアを参考にしてみてください。
- 家族での食事時間を大切にする
家族揃って食事をし、何気ない会話をしたり、食材について話したりすることで、食事の楽しさを学びます。誰かと一緒に食事がしたいと思う気持ちを育むのに繋がるでしょう。
- 子どもと一緒に料理をする
子どもと一緒に料理をするのも、家でできる食育です。野菜を洗う・切るなど簡単な調理体験を通じて、食材が自分の口に入るまでにどのような過程があるのかを学ぶことができます。その結果、食に対する興味が芽生えやすくなります。
- 簡単な栽培活動を取り入れる
ミニトマトやハーブなど、家庭で簡単に作れる野菜の栽培を通じて、食材が育つ過程を学ぶことができます。保育園で経験したことがある野菜を選ぶと、子どもが率先して育てたいという気持ちになるかもしれません。また、どのような野菜を栽培したいかを親子で話合うことも、食への興味を深めるきっかけになり得ます。
いずれも、子どもが体験を通して食への興味を持てるよう、サポートするのがポイントです。
保育園の食育は子どもの健全な成長に不可欠
保育園での食育は、子どもたちが健康的な食習慣を身につけ、食材や自然への感謝の気持ちを育む重要な取り組みです。子どもは調理体験や栽培活動、行事食などを通じて、食べる楽しさや食文化への理解を深めることができます。
また、家庭での食育応用として、家族での調理体験や簡単な栽培活動を取り入れることで、食育をより深められることも押さえておきましょう。