企業内保育所は固定資産税などが非課税?税制優遇について解説

待機児童の増加により、企業内で働く人のために保育サービスの提供に取り組む企業に対して、税制上の優遇がされることになりました。働く女性にとって保育施設の有無は重要で、転職を考えるひとつのきっかけにもなっています。

企業内に保育所を設置する場合、固定資産税や都市計画税が非課税になるといった税制優遇が受けられます。

今回は、企業内保育所を設けた場合のメリットとあわせて解説します。

企業内保育所とは何か

企業内保育所は企業が従業員のために設立した保育施設で、社内託児所・事業所内保育所とも言われています。

企業内に保育所を設けることで、待機児童問題における保育園の入所が困難な地域の従業員にも、子の預け先を提供することができ、女性従業員の社会復帰にもつながります。また、産前産後休暇、育児休暇から明けたあとの離職率を下げる効果があります。提供する企業側も、有能な女性従業員の離職を防ぐことができ、より従業員育成に力をいれやすくなります。

企業所内保育所は、平成27年度からスタートした「子ども・子育て支援新制度」において、市区町村の認可を受けて実施される地域型保育事業の一つであり、原則的には3号認定の子ども(0~2歳で保護者の就労や疾病等で保育を必要とする子ども)が対象となります。

企業内保育所を設けることによるメリット

企業内託児所を設けることによる税制優遇の措置は、平成30年度の税制改正で創設されたものになります。

この税制改正の文面には「個人又は法人が、平成30年4月1日から平成32年3月31日までの間に、企業主導型保育施設用資産の取得等をして、その保育事業の用に供した場合には、3年間12%(建物等及び構築物については、15%)の割増償却ができる 」と定められています。

■参考URL:平成30年度税制改正の大綱

このうち減価償却となる資産税制優遇措置の対象となる資産は、保育施設として使用する建物以外にも、主に子どもたちが利用する遊戯用の構築物や、遊具・家具・防犯設備といった子どもたちが利用する構築物も対象となります。

非課税の対象となる税

指さす女性

企業内保育所を設けることにより保育所の利用定員が6名以上の施設は、固定資産税と都市計画税のいずれも非課税となります。5名以下の施設については、一部減税となります。この施設に対しては特例措置が取られており、自治体によって減税の額は変わってきます。

企業内保育所と似たものに無認可保育施設となる企業主導型保育施設がありますが、こちらは非課税の対象外となります。

また、東京都の認証保育園での認定となると、不動産取得税などが非課税になります。

くるみん認定との併用

くるみん認定と併用することにより、さらな助成を受けることができます。

くるみん認定とはなにか

くるみん認定は、子育てのサポートを行う優良企業に対して、厚生労働大臣が「次世代育成支援対策推進法」に基づき行う認定になります。くるみん認定を受けるためには、企業内保育所をはじめ、授乳コーナーや女性用休憩室、多目的トイレといった子育てを行う従業員が働きやすい環境を新しく設けたうえで申請する必要があります。

くるみん認定による経費助成

くるみん認定を受けることにより、認定を受けた事業年度に固定資産税の割増償却を受けることができます。

また育児休暇から復帰しやすい子育てサービスを実施した実績など一定の要件を満たした場合、それに応じて補助金も支給されます。

企業内保育所を設置することによる助成金の詳細

固定資産税および都市計画税の減免

東京都23区内において利用定員6名以上の企業内保育所を設けた場合、民有地を活用した保育所の整備促進の税制面支援として、一定の要件を満たした土地については固定資産税と都市計画税が全額、企業内保育所を新規開設後、新たに課税される年度から最長5年度分まで減免されます。

この減免措置を受けるためには必要な要件として、次の要件をいずれも満たす土地などがあげられます。

  • 毎年1月1日の時点で、以下のいずれかの保育施設(保育所等)に使用されていること。
  • 認可保育所
  • 認定こども園(幼保連携型・保育所型・地方裁量型)
  • 認証保育所
  • 小規模保育事業所
  • 事業所内保育事業所(利用定員6人以上)

■参考URL:東京都主税局 有料で借り受けた者が保育所等として使用する土地に対する固定資産税・都市計画税の減免(23区内)

利用定員5名以下の企業内保育所の助成金

企業内保育所を設置したものの、スペースの認定問題などで5名以下の利用定員となる場合もあります。5名以下の企業内保育所の場合、上記の固定資産税と都市計画税において特例措置として1/2に減免されます。

この特例措置はわがまち特例が適用されるため、各自治体によって減免額の割合が異なります。そのため設置する自治体によって1/3~2/3と大きく差があります。

まとめ

赤ちゃんを抱っこ

企業内保育所を設ける事により、様々な税金を減免されたり助成金が出たりします。助成金を理解したうえで運営することにより、企業内で大きなメリットがでてきます。さらに詳しく企業主導型保育について詳しく知りたい人はこちらにお問合せください。

ONE ROOF ALLIANCE ワンルーフアライアンス

ONE ROOF ALLIANCE ワンルーフアライアンス
現在、都内22の認可保育園と認定こども園を運営する「社会福祉法人東京児童協会」と、企業主導型保育園や学童保育の運営、海外への保育事業を展開する「株式会社ONE ROOF」が主体となり、新しい子育て社会を実現していくネットワークです。