企業内保育所の設立方法!必要な資格や費用について解説

企業内保育所は企業が従業員への福利厚生の一環として設立する保育施設です。社内託児所や事業所内保育所とも言われ、馴染みがある方もいるかと思います。企業内保育所を設立する場合には、必要な建物の大きさ・設備要件、保育所で働く保育士や栄養士といったスタッフの配置条件を知っておくことが重要です。

企業内保育所は女性従業員の妊娠・出産による離職率を下げる効果が期待されており、女性従業員の雇用増加にもつながります。特に都心部では待機児童が多く子どもを保育園に入園させる事が困難で、女性従業員が復帰を希望していても入園できずに離職する事も多いです。そういった事態を減らす意味でもでも、企業内保育所は注目されています。

この記事では、企業内保育所を設立するまでの流れや、設立の手順、保育士のスタッフ数や助成金、気になる費用について解説します。

企業内保育所を設立する場合保育士は何人必要か

企業内保育所を運営する場合、保育士の確保が重要となってきます。保育園では、子どもの年齢に対して保育士の人数を何人確保するべきなのかが厚生労働省で決められており、それ以外に各自治体でも細かく設定されています。

  • 0歳児:子ども3人に対し保育士1人
  • 1歳児:子ども6人に対し保育士1人
  • 2歳児:子ども6人に対し保育士1人
  • 3歳児:子ども20人に対し保育士1人
  • 4歳児:子ども30人に対し保育士1人
  • 5歳児:子ども30人に対し保育士1人

また、保育所の定員数によっても保育士資格を持っている人数が変化し、定員20名以上の企業内保育所では、全員が保育士資格を有している必要があります。

定員19名以下の企業内保育所では、定数の半分の人数が保育士資格を有している必要があります。

保育士の人数以外にも、調理師や栄養士、看護師といったスタッフが必要になり、助成金を受けるためには様々な基準をクリアする必要があります。

企業主導型保育事業と企業内保育所の違い

赤ちゃん

企業内保育所と似た名称で企業主導型保育事業という事業区分があります。企業内保育所と企業主導型保育事業は似ているようで厳密には異なっています。次に企業内保育所と企業主導型保育所の違いについて解説します。

保育施設としての区分の違い

全国にある保育施設は、「認可保育施設」と「認可外保育施設」に分けられます。認可保育施設と認可外保育施設の違いは、企業内保育所を設立する上で重要な部分です。

認可保育施設

厚生労働省の定める保育所最低基準を満たした施設です。そのため地方行政の監督下にあり、認可保育施設には公的な補助金が出ます。申請先は自治体です。企業内保育所は「子ども子育て支援新制度」で定められた認可保育施設に区分され、認可保育施設のなかの地域型保育事業の一つとなります。

認可保育施設であれば、各自治体に申請し認可されると助成金が出るため、運営が軌道に乗りやすいというメリットがあります。申請に対しての基準は厳しいものの、受けられる恩恵は大きいのが認可保育園の特徴です。

認可外保育施設

認可保育施設以外の全ての保育施設を指し、24時間保育所やインターナショナルスクールなども含まれます。基準がないため設置は楽ですが、助成金は出ない場合が多いです。

このうち、企業主導型保育事業で設置する保育施設は認可外保育施設の区分となります。企業主導型保育事業は認可外保育施設ではあるものの、内閣府に申請すると助成金がでるという非常に珍しいタイプの保育施設です。

企業内保育所設立の手順と費用

企業内保育を設立する場合は、認可をうけるために必要な建物や設備要件、保育士を含めたスタッフの配置条件を知っておくことがまず重要となります。設立にあたって、開設後の運営を自営にするか、委託にするかにより、企業による費用負担が変わってきます。

外部の企業に委託する場合は、設立や運営に関する多くの業務を任せることができ、助成金の申請や自治体への対応といった事務作業も対応してもらえるため、解説までの時間を大幅に節約することができます。ただし、外部の企業に委託する場合は委託料金がかかり、保育に対するサービスの範囲は委託する業者によって異なってきます。

自社で保育スタッフを社員として雇い、サービスを展開することもできますが、その負担と鑑みて、どちらが適しているか判断するために、開設費用や設立までの手間などのシミュレーションを行い、総合的に判断するのがよいでしょう。

開設に伴う費用

経済産業省によれば、企業内保育所を設立する際にかかる費用の目安は700万円~4,000万円とされています。また、設立してからの保育所の運営費の平均は年あたり約2,000万円といわれています。

一定の基準を満たす企業内保育所の設置・運営費用の一部を助成する国の制度があります。そのため、一見企業内保育所を作るうえでコストがかかる印象をうけますが、実際は大幅に費用を削減することができます。

まとめ

おもちゃで遊ぶ園児

企業所内保育所を設立するためには時間と費用がかかるという先入観からか、実行に移すまでに二の足を踏んでしまう事も多いかもしれません。ですが、企業所内保育所は助成金を利用することで、初期費用を大幅に削減することができます。助成金をうまく活用することで運営にも費用をかけず、従業員の満足度向上にもつながります。女性従業員の雇用に対しても企業所内保育所は大きな魅力です。

企業主導型保育・企業内保育についてもっと詳しく知りたい方は、こちらにお問い合わせください。

ONE ROOF ALLIANCE ワンルーフアライアンス

ONE ROOF ALLIANCE ワンルーフアライアンス
現在、都内22の認可保育園と認定こども園を運営する「社会福祉法人東京児童協会」と、企業主導型保育園や学童保育の運営、海外への保育事業を展開する「株式会社ONE ROOF」が主体となり、新しい子育て社会を実現していくネットワークです。