企業主導型保育の共同利用契約書とは?共同利用のメリットもご紹介

企業主導型保育の特徴のひとつは設置者と他の企業が利用契約を結ぶことによる共同利用が可能である点です。

従業員枠を定員の半数以上確保しなければならない企業主導型保育では、子どもの数の変動など利用者獲得に不安があるかもしれません。しかし共同利用契約を結べば、他社の従業員の子どもも従業員枠の利用者として数えられます。

そこで今回は共同利用の概要やメリット、契約書の作成など共同利用の相手企業との交渉を進めるにあたって必要な情報を整理してご紹介します。

企業主導型保育の設置方式

企業主導型保育は企業が保育事業者になる保育施設です。その設置方式にはいくつかのパターンがありますので確認してみましょう。

設置の方式は4パターン

企業主導型保育の設置は必ずしも一般事業者が単独で行わなければならないという訳ではありません。主に以下の4つの方法で設置することができるので、自社の体制に合った方式を選べます。

  1. 単独設置および単独利用:設置者である企業の自らの従業員の子どもおよび全定員の50%以内の地域の子どもを預かって運営するもの
  2. 単独設置、共同利用:設置者は単独企業だが、他社と利用契約を締結した場合。設置企業と契約企業の2社(契約が複数の場合はそれ以上)の従業員の子どもおよび全定員の50%以内の地域の子どもを預かって運営するもの
  3. 共同設置、共同利用:複数企業による設置の場合。設置者である複数企業の従業員の子どもと全定員の50%以内の地域の子どもを預かって運営するもの
  4. 保育事業者設置型:設置者は保育事業者であり、他社企業と利用契約を結ぶ場合。保育事業者の従業員の子どもおよび契約企業の従業員の子どもと全定員の50%以内の地域の子どもを預かって運営するもの

※1~3については保育事業者への運営の委託が可能です。ただし再委託は禁止されています。

共同利用とは

上記に上げた企業主導型保育の設置方式に登場する共同利用とは、ひとつの企業主導型保育施設を複数企業で利用することです。共同利用では設置者である自社だけではなく契約関係にある企業の従業員の子どもを含んで従業員枠の数とすることができます。

共同利用のメリット

握手

企業主導型保育施設を共同利用にしておくとどのようなメリットがあるのでしょうか。コスト面に限らず、企業の人材獲得のためのPRなどにも活用できるので参考にしてみてください。

利用者が確保しやすい

自社従業員の子どもの数が変動することは十分に考えられます。しかし企業主導型保育では従業員枠を少なくとも半数の定員にあてなければなりません。こうした場合に他者と共同利用の契約関係にあれば従業員枠の子どもの数を半数以上に保ちやすくなるため、利用者集めの労力が少なく済みます。また個別に地域枠の子どもを募るよりも、共同利用の企業を探した方が多くの子どもを一度に集めることができる可能性があります。

費用負担が少なく済む

さまざまなコストのかかる保育施設ですが、共同利用の場合は運営費などのコストを複数企業で分散します。さらに共同設置の場合では初期コストも分散できるため開設のハードルも下がると言えるでしょう。

人材獲得のPRなどになる

共同利用は設置者の企業にとってメリットになるばかりではありません。契約をする企業にとっても、子育て世代のサポート制度がある企業として人材獲得の際のPRになります。企業同士の協力関係も生まれて新しいビジネスのきっかけになるということもあるかもしれません。

共同利用契約書

共同利用事業者を確保すれば安定的な運営が望める企業主導型保育事業ですが、どのようにして事業者を集めればいいのでしょうか。そして契約を交わす場合はどのような条件や書式なのでしょうか、解説します。

共同利用事業者の集め方

まずは近隣の企業に声をかけてみましょう。保育所へのアクセスというのは保護者にとって重要です。毎日の送迎はもちろんのこと、子どもが病気になった際などすぐに立ち寄れるためです。また地域枠での利用希望者がいれば、その雇用元となる企業に提案をするのも良いでしょう。また支援機関のマッチング会や商工会議所を利用する方法も考えられます。

共同利用契約

共同利用契約の相手企業が見つかった場合、どのように契約を締結すれば良いのでしょうか。実は契約の方法は特別には定められていません。ただし契約内容には利用契約枠と費用負担等を明確に定める必要があります。契約書は既存の形式やひな形などを利用して、法人印で結ぶようにしましょう。法律的に有効な形であれば自由形式です。

注意点

設置企業はもちろんのこと、共同利用契約を結ぶ事業者も「子ども・子育て拠出金を拠出する事業者」でなければなりません。これは企業主導型保育事業に参加する全ての企業に求められる要件ですので、この点は事前に確認しましょう。

まとめ

園内

企業主導型保育は認可外でありながら助成も受けられる保育事業です。企業の実態に見合った保育サービスを提供できる一方で、定員の半数以上は必ず従業員の子どもで構成される従業員枠で埋めなければなりません。安定した運営のためには従業員枠を一定水準で確保し続ける必要があります。そこで活用したいのが共同利用です。

共同利用では契約企業の従業員の子どもも従業員枠とみなされるため、設置者の経営が安定化するだけではなく、契約企業も保育サポートのあることをPRできるでしょう。

契約に際しては利用契約枠と費用負担についてあらかじめ決めておく必要はありますが、法律的に有効な契約書を取り交わしておけば双方にとって大きなメリットがあります。検討してみてください。

共同利用の契約書作成などサポートが必要な方はこちらまでお問い合わせください。

ONE ROOF ALLIANCE ワンルーフアライアンス

ONE ROOF ALLIANCE ワンルーフアライアンス
現在、都内22の認可保育園と認定こども園を運営する「社会福祉法人東京児童協会」と、企業主導型保育園や学童保育の運営、海外への保育事業を展開する「株式会社ONE ROOF」が主体となり、新しい子育て社会を実現していくネットワークです。