企業主導型保育事業の助成金には、整備費助成と運営費助成の2種類があります。整備費とは、企業主導型保育施設を設置するために必要な工事費。運営費とは、企業主導型保育施設を運営するために必要な費用です。運営費助成は、地域、利用定員、子どもの年齢、開所時間、保育士比率の5つの区分で算出される基準額が基本となります。これが「基本分単価」です。それに加えて、運営条件によって複数の加算額が支給されます。基本分単価に加算額を加えた額が運営費の助成金として支給されるのです。加算額は当てはまる条件によって複数あります。その中の一つが、延長保育加算です。
今回は、運営費の加算額の中でも延長保育加算にスポットを当て、受給条件や加算額について解説します。
目次
企業主導型保育の延長保育加算とは
企業主導型保育における延長保育加算とは、運営費の助成金額を算出するために必要な条件の一つです。企業主導型保育事業では、施設の運営に必要な費用を助成金として支給します。助成金額を算出するための基準となるのが、地域区分、定員区分、年齢区分、開所時間区分、保育士比率区分の5つの区分からなる基本分単価です。そしてその他に、各施設に当てはまる条件をもとに、加算額が支給されます。延長保育加算、夜間保育加算、非正規労働者受入推進加算、病児保育加算、預かりサービス加算、賃借料加算、保育補助者雇用強化加算、連携推進加算、処遇改善加算の9つが運営費助成における加算です。それぞれの条件に当てはまる施設のみ加算がされますので、全ての施設に加算額が支給される訳ではありません。延長保育加算はその名称の通り、延長保育を実施している企業主導型保育施設が受給できます。
延長保育加算の受給条件
延長保育加算の受給条件は、開所時間を超えて延長保育を実施していることです。開所時間を11時間と定めている施設では、11時間を超えて保育を実施すること、13時間を開所時間と定めている施設では、13時間を超えて保育を実施することが条件となります。施設の開所時間によって、条件が異なりますので注意しましょう。
また、延長時間によって子どもの利用人数などの条件が異なります。
1時間延長
1時間以上2時間未満の延長を実施しており、1日当たりの延長保育利用人数の平均が6名以上(19名以下の施設または、22時以降の延長保育では2名以上)。
2時間延長
2時間以上の延長保育を実施しており、1日当たりの延長保育利用人数の平均が3名以上(19名以下の施設または、22時以降の延長保育では1名以上)。
3時間以上の延長
3時間以上の延長保育を実施しており、1日当たりの延長保育利用人数の平均が3名以上(19名以下の施設または、22時以降の延長保育では1名以上)。
30分延長
30分以上1時間未満の延長保育を実施しており、1日当たりの延長保育利用人数の平均が1名以上。
利用人数は、延長保育利用予定の人数ではなく、実際に延長保育を利用した子どもの人数を計算します。一番長い延長保育時間の区分が適用されますので、複数の時間区分に該当することはありません。延長時間や子どもの人数、施設の規模によっても基準が異なりますので、運営する施設が当てはまる区分を把握しておきましょう。
延長保育加算を受給するためには、保育士や保育従事者の設置人数の基準を満たし、そのうちの半数以上が保育士資格保有者でなければなりません。また、子どもの利用人数が1名である場合を除き、2名以上の保育従事者を設置する必要があります。2名の保育従事者で延長保育を担当するときには、そのうちの1名は保育士資格保有者でなければいけません。1名の子どもと1対1で過ごす場合には、必ず保育士でなければならないということですね。
延長保育加算の加算額は?
令和元年度企業主導型保育事業助成要領によると、延長保育の加算額は、延長時間区分が30分の場合は園児定員の区別はなく、全ての施設において年間27万6,000円の加算となり、1時間以上の延長では園児定員によって加算額が変動します。
1時間延長
定員20名以上の場合は138万4,000円。19名以下の場合は109万7,000円。
2~3時間延長
定員20名以上の場合は221万6,000円。19名以下の場合は139万円9,000円。
4~5時間延長
定員20名以上の場合は471万3,000円。19名以下の場合は363万1,000円。
6時間以上の延長
定員20名以上の場合は、552万円。19名以下の場合は420万4,000円。
全て年間の加算額です。支払いは、運営費の月次報告の申請に基づき、月割りで支給されます。他の運営費の月次報告と共に、毎月1日から10日の間に前月の実績を入力しましょう。
まとめ
延長保育の実施は、企業で働く従業員にとって安心して働くことのできる一つの材料となります。企業主導型保育事業では延長保育の実施に対して加算額が支給されますので、従業員が安心して働ける環境作りのためにも実施したいと考えた時には、申請を忘れずに行いましょう。延長保育加算は、延長時間や園児定員、利用人数によって加算額が異なります。まずは、施設の規模や実施しようと考えている延長保育の時間が、どの区分に当てはまるのかを確認しましょう。延長保育を実施するためには、その分の保育士の確保も必要です。保育士の設置人数を必ず満たし、子どもたちが安全に安心して延長保育の時間を過ごせるような、環境作りが大切です。