企業主導型保育は事業者が主体となる認可外保育がですが、企業が保育事業者になるメリットが気になるところかもしれません。
企業主導型保育では、企業の実態に合わせた保育施設を設置できる裁量が与えられています。しかも、一定の基準や要件を満たして事業者として認められれば、認可保育と同水準の助成も与えられるのです。またワークライフバランスの取れた働き方を支援することで、従業員の生産性も向上するといえるでしょう。さらには、子育て世代の離職率を低下させることにもつながります。
そこで今回は企業主導型保育のメリットについて、企業及び従業員のそれぞれの視点も踏まえつつ、特に知っておきたい3つのメリットについて解説します。
目次
企業主導型保育にどんなメリットがあるのか?
企業主導型保育は企業が保育を主導するという制度ですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。まずは制度を立ち上げた内閣府が提唱するメリットについて詳しく見ていきましょう。
内閣府が示す特徴からわかる企業のメリット
内閣府は企業のメリットとして以下の4点を挙げています。
- 女性活躍の推進
- 優秀な人事採用・確保
- 地域貢献
- 企業イメージの向上
女性の活躍と優秀な人材の確保には大きく関わり合いがあります。企業に長年勤め、これからの活躍が期待できる従業員であって出産や子育てに際して、キャリアの継続をあきらめなければならない場合があります。適切な保育施設が見つからないことも原因のひとつであり、この問題に企業が主導で取り組むことで優秀な人材の離職を防ぐことが可能です。またワークライフバランスの取れた企業としてアピールできるので、人材獲得にも良い影響があるでしょう。
さらに地域の子どもの受け入れをすることにより、特に待機児童の多いエリアにおいて、地域貢献度の高い優良な企業というイメージを与えることにもつながります。
そして企業として保育事業に取り組む姿は、子どもにやさしい企業であるという、企業イメージの向上にも役立つことでしょう。
従業員にも多くのメリットがある!
企業主導型保育事業は従業員の中でも、特にワーキングマザー(ファザー)の方に対して多くのメリットがあります。
仕事と子育ての両立ができること、キャリアを継続させられることはもちろん、送迎の時間を過度に気にする必要がない、子どもが体調を崩した場合にも近くにいるからすぐに対応できるなど、安心して業務に取り組める環境が得られるといえるでしょう。
メリットその1:認可保育園並みの補助金が出る
実利的なメリットとして挙げられるのが、企業主導型保育は認可外保育でありながら、認可保育並みの助成を受けられる点です。
助成金には「運営費」と「整備費」があります。
運営費は地域、定員、年齢、開所時間、保育士比率という5つの項目において基礎となる基準額から助成額が算出されるものです。中小企業は全額の97%が、大企業の場合は95%が助成されます。また延長保育や夜間保育の実施などいくつかの項目において、要件を満たす場合は基準額に加算されます。
一方の整備費は、人口密度と定員の2項目項において基礎となる基準額から助成額が算出されるものです。この基本単価と、実際にかかった工事費用の75%に相当する金額の小さい方が助成されます。
運営費や新設や改築に際してその大半を助成金で賄えるというのは、事業者にとって費用面での不安を解消できる大きなメリットです。
メリットその2:社員の働き方に柔軟に対応可能
企業主導型保育の場合には事業内容や従業員のニーズに合わせて、保育時間や契約形態を柔軟に設定することが可能です。
企業にとっては自社の業態が土日も営業するなど、乳幼児の子育て世代に受け入れられづらい場合に、これまでは離職していた人材にも働き続けてもらえる可能性があります。また例えば、会社の規定で時短勤務が就学まで続かない場合も、企業主導型保育の設置は有効な手立てといえるでしょう。
そして従業員にとっても、すでに述べたように、キャリアを継続しながら安心して子育てができるという大きなメリットがあります。
メリットその3:企業イメージの向上につながる
企業は単に利益を追求するだけではなく、社会的責任(CSR)を追うものとされます。国策としてすべての国民が活躍できる社会を目指していることもあり、子育てを応援および支援する姿勢は社会的にも評価されるポイントです。
ワークライフバランスを適切に保つ、地域枠で従業員以外の子どもを受け入れる、などといった形で子どもや従業員にとってやさしい企業であるというイメージの向上を期待することもできます。
まとめ
企業主導型保育を導入することは、企業はもちろんのこと従業員にとってもメリットがあることをご紹介しました。従業員が働きやすい環境を作り出すことは、優秀な人材の確保や、地域貢献、企業イメージの貢献につながっていきます。
企業主導型保育のメリットを活かして、会社と従業員の双方がより良いものになっていくためにも、保育事業を始めてみてはいかがでしょうか。