共同利用契約書はひな形を利用して確実な企業間合意を取ろう!

子育て世代のニーズや、多様な働き方を実現させようと企業主導型保育の共同利用を検討している企業や事業者は、どのような点に配慮して契約を結ぶべきなのでしょうか。

今回は共同利用契約を結ぶにあたって、設置者と利用者の両方が押さえておきたいポイントと契約書のひな形をご紹介します。
※この情報は2021年4月2日時点のものです。

企業主導型保育と共同利用

企業独自の働き方や従業員のニーズに合わせた保育施設を企業が自ら設置、運営することのできる制度が企業主導型保育です。この制度の特徴のひとつに、複数企業が連携をした保育施設の設置や、共同利用が可能であるという点があります。

保育施設の運営にはコストやリスクがつきものです。特に企業主導型保育施設では、定員の50%以上を従業員枠で満たさなければなりませんが、子どもの数は変動するもので、安定した定員の確保が自社だけでは難しいという場合もあるでしょう。

このような背景を抱える企業にも広く事業に参画できるように、企業主導型保育では、複数企業が契約を結ぶことで各社の従業員の子どもが、施設を共同利用することができる仕組みとなっているのです。

共同利用には他にも、各参画企業の運営費用の負担分散や、保育への取り組みを外部へPRできるなど、大きなメリットが期待できるといわれています。なお、共同利用の場合にも、運営自体はノウハウがある会社に外部委託をすることができます。

共同利用のメリットに関してはこちらの記事も参考にしてください。
参考サイト:企業主導型保育の共同利用契約書とは?共同利用のメリットもご紹介

このように企業主導型の特徴である共同利用を活用すれば、中小規模の事業者であっても企業主導型保育施設へ参入、もしくは利用することが可能になります。ただし、企業間で利用するにあたっては事前に条件を定めておく必要があります。

※こちらのひな型は、現時点の弊社の企業主導型保育園の運営にあわせて作成したものです。ひな型を使用して契約上の問題が発生しても責任は負いかねますので、契約内容は十分ご確認ください。

共同利用のポイント

異なる背景をもった企業同士が、ひとつの保育施設を共同で利用する企業主導型保育施設の共同利用では、利用の条件など契約内容を事前に決めておくことが必要です。そこで共同利用において押さえておくべきポイントを解説します。

共同利用の契約内容は基本的に、設置企業が任意で決められるものです。ただし、制度の枠組みは変えることはできません。そこでポイントとなるのが、定員の枠です。

企業主導型保育事業では、従業員枠を原則50%以上としなければなりませんが「子ども・子育て拠出金を負担する事業者」であることが要件となります。これは共同利用の企業の子どもを、従業員枠に入れる場合にも適用されます。

この要件に当てはまらなければ従業員枠には該当しませんので、拠出金を負担しない事業者の場合には地域枠での利用を検討することになります。ただし地域枠の上限は総定員の半数を上限とするため、契約を結ぶ場合はこの点も踏まえておかなければなりません。

従業員枠についてはこちらも参考にしてください。
参考サイト:企業主導型保育の従業員枠(企業枠)とは?構成や注意点までご紹介

上記では特に注意をしたいポイントとして定員枠をあげましたが、利用料金や運営費の負担なども契約時に定めておくことが、トラブルを回避するためにも重要です。そこで次の項目では、共同利用契約書の作成とひな形について紹介します。

共同利用契約書のひな形

契約書を記載する

企業主導型保育施設を企業が共同で利用する場合の契約内容は任意であるとご紹介しましたが、法人印を用いた共同利用契約書の締結は必要です。この契約書は双方の合意事項を明記するものですから、重要事項を漏らさず作成したいものです。

企業主導型保育では事業の主体となる企業に、裁量が大きく与えられています。運営計画に関しても設置企業やその委託業者が設定するものですが、共同利用の企業と契約を結ぶ場合には、運営計画における定員を充足するような内容とすることを念頭に置きましょう。

例えば保育施設によっては、厚生年金を適用している(従業員枠に該当する)、利用定員は1名以上が必須などと定めています。

また反対に、共同利用を希望する側の企業であれば、契約書の内容を確認して自社にとって不利な条件が設定されていないことを事前に確認しましょう。こうした利用定員数や費用負担はあらかじめ契約で明確にしておくことが重要です。

契約内容が任意であるだけに共同利用契約書も書式は自由ですが、ひな形を利用した方が条件の抜けや漏れを防ぎやすくなります。

施設として安定した運営や各社の従業員の保育ニーズにこたえるためにも、共同利用契約書は重要な役割を果たします。契約を結ぶ双方の企業が企業主導型保育の共同利用を活用できるように、契約書はひな形も利用しながら作成しましょう。

※こちらのひな型は、現時点の弊社の企業主導型保育園の運営にあわせて作成したものです。ひな型を使用して契約上の問題が発生しても責任は負いかねますので、契約内容は十分ご確認ください。

まとめ

娘を抱きかかえる母親
企業主導型保育の特徴である共同利用は、うまく活用をすればコストやリスクは最小限に抑えながら従業員の保育ニーズにこたえられる仕組みです。企業主導型保育の共同利用契約の内容については基本的に企業の裁量に任せられています。

ただし解説した通り、ポイントを押さえた契約書を締結しておくことは、提携する企業がお互いに気持ちよく、安心して保育施設を利用するために重要です。特に定員に関しては制度の要件も関係することから双方の契約者が注意を払う必要があります。

今回ご紹介した共同利用契約書のひな形も参考にしつつ、必要に応じて専門家のアドバイスを受けて円滑な運営が実現するよう、契約を結んでくださいね。

※こちらのひな型は、現時点の弊社の企業主導型保育園の運営にあわせて作成したものです。ひな型を使用して契約上の問題が発生しても責任は負いかねますので、契約内容は十分ご確認ください。

ONE ROOF ALLIANCE ワンルーフアライアンス

ONE ROOF ALLIANCE ワンルーフアライアンス
現在、都内22の認可保育園と認定こども園を運営する「社会福祉法人東京児童協会」と、企業主導型保育園や学童保育の運営、海外への保育事業を展開する「株式会社ONE ROOF」が主体となり、新しい子育て社会を実現していくネットワークです。