企業主導型保育事業申請は令和2年度どこが変わった?次年度に備える

働き方の多様化がますます進む中、柔軟な保育施設の必要性の高まりから、企業主導型保育事業は令和2年度も制度が継続されました。そこで今回は従来の申請と令和2年度における申請や審査における変更点を解説します。

今年度の申請については応募期間が終了していますが、次年度の申請を検討している事業者の皆さんにはぜひ知っておいていただきたい情報です。

企業主導型保育事業

今年度の企業主導型保育事業の変更点をご紹介する前に、そもそも企業主導型保育事業とはどのような特徴があるのかをおさらいしてみましょう。

 企業主導型保育事業は企業が事業者もしくは委託をして主体的に運営する保育事業です。慢性的な保育所不足による従業員の離職や企業ごとの多様な働き方に対応した保育施設を創設することを目的としています。

保育事業を行う企業の従業員の子どもを預かることを主軸に置いており、開所の曜日や時間を柔軟に設定できるというメリットがあります。

また、保育施設としては認可外ですが、事業者として認められれば認可並みの助成を受けられるという特徴があります。詳しくは以下の記事も参照してください。
参考サイト:【企業主導型保育のメリットとは?】今知っておきたい3つのこと
参考サイト:企業主導型保育の検討は設置基準の確認から始めよう!

このように企業主導型保育事業は企業が自ら子育て世代の従業員をサポートできる制度です。また保育所不足の地域に一部受け入れ枠を開放することにより(上限アリ)地域貢献も可能になります。

手厚い助成を受けるためには事業として認められる必要がありますが、応募期間ごとに申請や審査の内容は変更や修正が加えられます。こうした内容に対応していくことが重要ですので、次は企業主導型保育の申請審査について令和2年度の変更点をご紹介します。

申請審査の令和2年度の変更点

メモを取る人
令和2年度も制度が継続された企業主導型保育制度ですが、申請審査について変更点も多くありました。具体的にどのような点で変更があったのか確認してみましょう。

従来は提出書類を総合的に評価し、内示を経て助成が決定されていました。令和2年度も申請に提出書類が必要とされることに変わりはありません。しかし制度の対象や要件、評価点がより明確化、厳格化されました。
参考サイト:資料3-2 (別添)審査事項(児童育成協会)

これまでも助成には条件がありましたが、令和2年度については審査対象となる事業者は平成31年4月1日までに設立された法人又は平成31年4月1日までに事業を開始した個人事業主に限定されました。(ただし、分社や合併の場合はその前の法人が設立された年月日で判断します。)

これまでの助成の条件については以下の記事も参考にしてください。
参考サイト:企業主導型保育に補助金は出るのか?助成金の条件と注意点とは
参考サイト:企業主導型保育の検討は設置基準の確認から始めよう!

そして令和2年度は次のような要件や審査内容も追加されました。

  • 保育事業者型事業として実施する場合には5年以上の運営実績があること
  • 地方公共団体への事前相談(地方公共団体が審査団体である児童育成協会に事業者を推薦すると評価点が加算される)
  • 財務面や労働面などにおいて基準を満たしているか等が定量的に評価される
  • 待機児童対策への貢献度が高い場合は加点要素となる
  • 参考サイト:企業主導型保育事業助成要領(新旧対照表)※児童育成協会ページ内PDFリンク

    また提出書類にも追加変更が加えられており、本業の財務状況やガバナンス体制など事業の継続可能性を判断するものや保育の質や施設情報書類の提出が求められています。

    応募の中から事業者の候補は書類や調書、児童育成協会の審査会からの意見など段階的な審査を経て、内示通知から助成の決定がされるものです。

    このように、令和2年度の企業主導型保育事業の申請は、適格な事業者の選定のためにより細かく審査内容が定められました。本年度の募集は終了していますが、次年度に向けた準備の参考にしていきたいものです。

    次年度に向けて

    ご紹介したように企業主導型保育の申請においては、ますます財務面など経営体制について適格性を問われる可能性が高くなることが予想されます。

    これまでの要件を満たすことはもちろんのこと、令和2年度に追加された要件にも対応できているのかどうか確認をしておきましょう。
    特に財務の適格性については下記になります。

  • 債務超過がない
  • 3年以上連続の損失がない
  • 1か月分以上の運営資金の保有
  • また、こうした項目は税理士や公認会計士など専門家が証明をしている必要があります。

    世界的な感染症の拡大で社会情勢が目まぐるしく変わっている時期ですが、企業主導型保育事業への申請を考えている場合は本業の経営をできるだけ安定させておくことが重要です。次年度の応募に向けては、申請書類を揃えながら、要件を満たせるように準備をしていきましょう。

    まとめ

    笑顔の女児
    企業主導型保育事業の申請と審査の令和2年度における変更点についてご紹介しました。従来通り保育事業者としての要件を満たす必要はもちろんのこと、定量的な評価基準や自治体との事前相談を必須とするなど、より適性を見極めた上で事業として助成を受けられる仕組みとなっています。

    本業の財務やガバナンスの状況についても問われる内容となっているので、次年度の申請に臨む場合には専門家のアドバイスを受けて早めに準備を進めていきましょう。

    ONE ROOF ALLIANCE ワンルーフアライアンス

    ONE ROOF ALLIANCE ワンルーフアライアンス
    現在、都内22の認可保育園と認定こども園を運営する「社会福祉法人東京児童協会」と、企業主導型保育園や学童保育の運営、海外への保育事業を展開する「株式会社ONE ROOF」が主体となり、新しい子育て社会を実現していくネットワークです。